現在、偉大なブルースマンたちは、ほぼ全員この世を去ってしまっている。それだけの理由でも、B.B.キングによるこの演奏は大いに歓迎すべきものと言えるだろう。キングのギター演奏と歌には、もはや不滅の名アルバム『Live at the Regal』が示したような炎のごとき熱さはない（2003年6月、この83分間のショーがニューヨークでケーブルTV局A&Eのために収録された時点で、彼は78歳を迎えようとしていた――つまるところ、そういう事だ）。とはいえ、キングは自分のタッチを失ってはいない。本作中3曲でキングと共演しているジェフ・ベックにも同じことが言える。相変わらず驚異的な独創性と巧さを見せつけるベックは、主役の座を奪いかねない存在感を発揮している――しかし、その演奏には、他ならぬB.B.から教えてもらったフレーズを使っているのだ。曲目については、仲間たち（ウィリー・ネルソンやトニー・ベネット）が電話でリクエストしてくるところで予想できるとおり、キングの名曲（「The Thrill Is Gone」、「Sweet Little Angel」、「Let the Good Times Roll」）が目一杯盛り込まれている。また、2003年のアルバム『Reflections』からも数曲を演奏。（Sam Graham, Amazon.com）