しかし最近どうして時代小説の面白い作品は、女流作家によるものばかりなのでしょうか。平岩弓枝さんは大御所なので別格でしょうが、宇江佐真理、宮部みゆき、北原亜以子　諸田玲子、杉本章子、松井今朝子に本作品の秋山　香乃、それに対して男性ではどうでしょう乙川　優三郎と山本　一力位しか私のお勧め作家としては思い浮かびません、池波正太郎、藤沢周平の二大重鎮亡き後は。
女性ですからどうしても人情物となるのですが、秋山香乃さんの場合は別で作者はきっと剣道の心得があるのでしょう、剣戟の場面が真セマなのです。ある篇の中で、見事に十文字に切られた死体の描写がでてきますが、一度半分にした体を別の角度から更に二つに切るのは難しいとか、表面は傷口がくっつくほど綺麗に切れても骨の周りではどうしても刀がぶれるが、傷口の中に手をずぶりと差し込んで、少しのがたつきもないことを確認した斉藤一が「手練というよか、神業だ」という場面とか、私は最初にこの作者の「歳三、往きてまた」を読んだとき作者は男性ではないかと思ったほどです。　お話はこの作者の新撰組モノが仲間の裏切りに対して峻烈な私刑を与えて隊律を維持して行こうとした殺人集団を史実に忠実に描き、従ってどちらかといえば肩のこる作品が多いのですがこの作品は捕物帖とあるように近藤勇や土方歳三にとっては親父的存在であった井上源三郎の活躍を描くもので気持ちよく読むことが出来ます。
　井上源三郎は性格磊落、お人よしで隊士の人望もあつかったそうです。その源さんがいろいろ事件を起こしたり恋になやんだりする若い隊員の面倒を見るのですが、新撰組につきもののキッタハッタが比較的に少なく、そのかわりただ峻烈をもって知られてきた近藤勇、土方歳三、沖田総司たちの男同士の信頼と友情がさりげなく描かれています。
この本で読んでいてほっとするのはこうした男の交わりが全篇の下敷きになっているからでしょう。

新撰組オールスター感謝祭…?ライトノベルと思って手に取ると丁度良いです。読書に慣れていない読者が手始めに読むのには手頃でしょう。歴史の研究にはなりませんが。
しかし文法の誤りや文章の意が汲み取り難い箇所があり、ある意味読みにくいです。作者は多摩弁に固定されたありがちなイメージを持っているようですね。まぁそれもこの軽さならでは、仕方ないのかな、と読み流してしまえればキャラクター遊びとしては楽しめます。

とても読みやすいのですが、新鮮な驚きがありました。
井上先生のほろりと優しい視点で描かれており、なんとも爽やかな読後感があります。
切なく、描かれている新撰組の日常と言った感じでしょうか。
個人的には斎藤先生のキャラクターが、とっても好みです。
えっ、というような方に描かれていて今まで持っていた新撰組三番隊組長のイメージがかなり変わりました。
口で説明しにくい魅力で、ただこんな斎藤一さんは知らなかったとしか。
是非、斎藤一ファンの方にもオススメしたいです。（ほんのすこししか登場しませんが、他の方達もとっても魅力的に描かれてますので、読んで損は無いと思います）
沖田総司や伊庭八郎のファンの方にもオススメかも？

それから、なんと言ってもやっぱり源さんが素敵でした。

大河以前からはまっている新撰組。この本も楽しみに手に取りました。
捕物帳の試みは失敗しているのですが、気軽には楽しめる。
楽しめるんですよ。でも、読み終わったあとになにが手元に残るのだろうと考えるとなにも残らない。
ただ右から左に文章が流れていっただけです。
時間つぶしにはいいのですが、これを小説といわれると
少しフクザツな気がします。
こういう軽ーい本が最近は多いんでしょうかねー？
私が編集者だったら出しません。

秋山香乃先生が書かれる新撰組は、あまり新撰組を知らない人でも読みやすく、また想像しやすいと思います。今回の作品は、新撰組六番隊隊長井上源三郎が主役という他の作品でも珍しいのでは、ないのでしょうか。タイトル通りに、新撰組関係で起こった事件に源さんが足を突っ込む御節介話です（尾形風に言うとね）。土方に釘刺されの、局長の寛大さに感動しーの、久馬を可愛がりーの、尾形怒られーの、源さん大活躍。大河の影響が多いのでしょうか。大河好きの人には想像しやすい登場人物達でした。性格がそのままというべきか。この本を読んで、ますます源さんが好きに為りました