この小説は、筋立てはもちろん、当時の英国の風俗や社会背景、階級、独身女性の生き方など、興味深い
事柄が本当にたくさん散りばめられているので、そういった事にも注意しながら読むと何倍も楽しめると思う。
ヴィクトリア朝の社会や文化のおおまかな雰囲気がつかめるのでは。また、随所に現れる挿絵もとても素敵だ。
ヒロインのベッキーは、のっけから、かなりのいやなやつ振りを発揮しているけれど、何故か憎みきれないし、もう一人のヒロインアミーリアは純真でけなげで、応援せずにいられません。二人の恋のお相手たちや、行く先々で出会う人々も、皆それぞれに個性豊かで、あきさせません。
長編だから、物語を読む楽しさにどっぷりつかれます。
当時のイギリスの歴史的な背景などに詳しければ、ベッキーの猛烈な上昇志向に関しても、また違った視点から理解できるのかもしれません。
作者自身による挿絵も入っているし、ストーリ展開も楽しめるし、二人のヒロインはチャーミングだし、歴史も入ってるし、本を読む醍醐味が味わえます。
たしかBBCがドラマ化しているようですが、ヴィジュアルが浮かんできやすいタイプの話なので、頭の中で勝手に、夢のキャスティングでドラマ化したら楽しそう。