とにかく、「これはオレか!?」と思うくらいに共感できる、身近に感
じられる、理解できる。別に生まれが不幸とか顔が悪いとかじゃない。
だけど女の子の前だと上手くしゃべれなくて、部屋でひとりため息をつ
く。「はぁ~あ、彼女欲しいなあ」。
最近、オタクやダメ人間を描いたマンガには「ダメならダメで前向きに
いこう!」と開き直った作品が多いが、この作品の登場人物たちは違
う。決して「楽観主義」という言葉の利便性に頼ったりしない(頼るこ
とを知らない?)。それがまた「なんだかな~」と笑える。
読む人が読めば「こういうヤツらが社会をダメにするんだ!」と怒り出
すかもしれない。怒らせておけばいい。私に言わせれば、青年期特有
の、あの鬱屈とした毎日を否定する人間の方がよほど信用ならない。
今後に期待できる若手マンガ家の一人。あとがきも味わい深い。