わからない
★★★★☆
『ザ・コンサルティングファーム』に、経営コンサルタントよりも
賃金が高いとされていた投資銀行に興味を持って読んだ。
しかし物語は裁定取引(アービトラージ)を軸に展開していくが、
その裁定取引が私には理解できない。
なんかよくわからないけど儲かるらしい。
竜神や藤崎の行っているその他のお取引もさっぱりわからない。
臨場感溢れる筆致で引き込まれるが、
金融商品の知識の理解できない私には
本書の面白さはわかっていないだろう。
野村證券のスタッフがソロモンの取引のカラクリを
ほぼ解明するというくだりでは、メーカーが競合の
製品を徹底的に分解して調べる姿を連想した。
ノンフィクション ドキュメンタリー
★★☆☆☆
この作品は小説ではない。ノンフィクション・ドキュメンタリーだ。多くのレビュアーの言うとおり、市場経済の勉強にはなる。多くの企業が実名や実名もどきで登場するので、ノンフィクションの面白さがある。しかし、小説的な展開はまったくない。
この本を読むとなぜ日本が駄目になってしまったのか良く分かる
★★★★☆
この本を通じて、戦後日本がため込んだ富をいかに外資(特にアメリカ)へ抜かれて
いったかが良く分かる。経済のテキストとして使えるだけでなく、人物描写も丁寧で
筆者の筆力に引き込まれます。
しいて不満を挙げるとすれば、会社名が実名・偽名入り混じっており(三菱UFJはそのまま、
三井住友は四井住之江、モルガンスタンレーはモルガンスペンサー、ソロモンブラザースは
そのまま等々、あげればきりがない)、気にならない人は気にならないと思うのですが、
私はとても気になりました。もう一点は「トップレフト」「アジアの隼」等の著作と、主人
公(桂木)の人物像が似通っていること。まあ些細な点ではあるのですが。。。
へぇ〜、投資銀行ってこういうところなのか
★★★★☆
「“リーマンショック”は予見できたか!?」の帯文に惹かれて迷わず購入しました。
経済や金融の解説書は、サブプライム問題以降、巷に溢れていますが、
門外漢のビジネスマン(私)が理解を深めようと手にとっても、結構難解です。
この本は、そうした初心者にも、“投資銀行”を初めとする金融の世界を、
エンタテイメントとして楽しみながら理解させてくれます。
プロローグからカタカナ英語がやたら多くて、最初とまどいましたが、
これも主人公桂木が、ウォール街に邦銀を辞めて飛び込んだ時の心象風景を、
読者に疑似体験させる、筆者の計らいかなという気がします。
今では投資銀行は悪玉代表格ですが、本来の生まれが、事業を支える“白靴の貴公子”で
あったことも、この本から知りました。
下巻まで一気に読みきってしまいましたが、エピローグに書かれた主人公桂木と“船長”の
会話に、筆者黒木氏の気持ちがにじみ出ているようで、感激しました。
サブプライム問題を勉強するなら、難しい経済書にあたるより、
まずこの本を一読されることをお勧めします。
投資銀行助産婦説
★★★★★
金融小説をここまで克明に、かつ迫力ある面白さで描ける筆力に驚いた。経験者だけあって金融商品の理解も的確で深く、一つ一つの金融事件を追った取材力も相当なもの。
物語は外資系投資銀行の草分けともいえる3人の日本人を主人公に、1985年から始まる。金融市場で外資参入が解禁され、急速にプレゼンスを高めていった背景には日本の不可解な市場慣行や財務行動があった。
外資系投資銀行は不動産や株価の高騰、海外企業や不動産の買収、国内での転換社債ブーム、更にはバブル崩壊後の損失先送り行動など、日本企業の弱点を探し出し容赦なくアービトラージしていく。日本国内ではこうした投資行動に批判的な言論が多いjのに対し、バブルの生成と崩壊は主に国内要因であり、その過程で株価調整や不良金融機関の淘汰という必要なアービトラージを手助けしたのが米系投資銀行だった、と、本書はいわば「投資銀行助産婦説」に立っているのだと思う。
3主人公の全盛時代の後には、欧州系や邦銀も同様のビジネスに参入し、また日本企業も賢くなって、余り儲からない時代がやってきた。本書はそれを竜神や藤崎の転身としてのみ描いている。できればサブプライムローンのように、米国が自らをアービトラージした時代まで書いてほしかった。