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新版 電子と原子核の発見 20世紀物理学を築いた人々 (ちくま学芸文庫)

価格: ¥1,575
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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息子に買ってやりました ★★★★☆
高一の息子は理系の進路を選択したもののまだ迷いがあって、
自分が何を好きなのか分からずにいるようなので、こんな本
を読んだら興味をもつかどうか様子を見てようと思ってます。
後世の人に一言遺せるなら?「物質は原子から構成される」(Feynman) ★★★★★
教科書を読めば「物質は原子から構成される。原子は原子核と電子から出来ている。原子核は陽子と中性子から出来ている」という数行で終わりです。しかし、この知識に辿り着くまでには20世紀の物理学のドラマが詰まっている訳です。つまりこの原子描像に至るまでには、トムソンによる電子の発見(1897年)からチャドウィックによる中性子の発見(1932年)に至るまでの35年を要した訳です。(実際には中性子の描像が認知されるのはもう少し後ですが)
そんなドラマを、文章の名手でもあるワインバーグ氏が、歴史的史実に忠実に基づきながら紙面上で再現しています。時折、理系コースの高校生なら分かる程度の数学を用いて、必要最低限の力学・電磁気学・熱学の解説を適宜織り交ぜつつ(付録が良い!)、定量的な議論も加えている処が教育的で素晴らしいです。例えば、原子核が如何に小さい存在なのかが「封筒裏の計算」の精神で定量的に評価され、実感がわきます。またこの新版ではミリカン氏の再評価(実はデータ改謬?等)に関する議論も追加されました。
本書を通じて読めば「Science is a self-correcting process」(Carl Sagan)の意味が分かります。例えば中性子発見以前の原子核描像はどうだったのか、そこから何が予測され、どの実験を説明出来なかったのか・・・そんな背景があってこそ中性子の発見に至っているのですが、チャドウィック当人でさえその発見に困惑を隠せなかった・・・そんな裏事情も良く分かります。教科書に書いてあることが実は「当たり前」ではない訳です。新しい物理学を創り出そうとする物理学徒は「X線からクォークまで」(E・セグレ) などと共に一読してみましょう。寺田寅彦流「研究的態度」を修養するのに役立ちそうです。(^-^)