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数学史入門―微分積分学の成立 (ちくま学芸文庫)

価格: ¥1,050
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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現代数学だけが数学ではない!! ★★★★★
公理主義や証明至上主義を離れて、数学の原始から微分積分学の完成へと至る過程がこの本で追体験することができる。

「『抽象の限界』を、われわれは痛烈に思い知るときである。」と著者が言うように、微分積分法は、空の上から、突然「高等学校教科書 数学III」や「解析学」として、文科省の机の上に落下してきたようなものではないのだ。現代数学は、その遺産の多くを捨象してしまっている。その過程は、泥臭くも、時に天才的火花がスパークする過程なのだ。

本書で紹介されている、アルキメデスによる天秤とおもりをつかった機械装置による、「パラボラの求積」は、圧巻だ。

これに続いて、アラビアの数学「アルジャブル」のラテン世界の醗酵により、「幾何学的思考法」から「代数的思考法」の転換がおこる。現代人にとっては、もはや謎である式をつかわない自然言語だけのインドやアラビアの数学の、デカルトとフェルマーによる代数による書き換え。そして、「アルジャブル」とアルキメデスの合流地点に立つ、フェルマーによりこのアルキメデスの「パラボラの求積」を一般双曲線への拡張されている。そして、「アルゴリズム的無限小解析」を駆使したニュートンとライプニッツにより、微分積分の完成がなされる。

本書では、式をつかって証明のみならず、哲学的問いや、数学が成立した文化的背景の考察もなされており、証明至上主義の体裁をとる現代の大多数の数学書とは、質の異なる本である。この本の内容を追っていくことは、遠回りなのかもしれないが、たくさんの刺激に満ちていることは間違えない。

ただ、読む人を選ぶ本で、大学教養課程度の数学が駆使できる人で、数学が好きなひとでないと、途中で挫折すると思います。
数学についての視界が広げられる本ですね。 ★★★★★
買ったまま、本棚に眠っていたのだが、思い立って読んでみた。
ーーー現代数学は抽象化の道を進んでいるが、これには意味がある。
ーーー数学体系のこの意味は、社会的な現実と過去の歴史の2つに照らし合わせて、はじ
めて理解できる。
こうした、数学理解の方法が冒頭に」明確に提示されている。有益である。

本文は、微積分の成立史に限定し、アルキメデスの幾何学的微分学(?)が、どのようなプ
ロセスを経て、ニュートン、ライプニッツの微分積分学に発展したかを、一人一人の数学者
の思想に照らし理論内在的に記述される。無限小解析学の成立が移行の基準となる。

著者の研究の特色はギリシャ数学から、近代微積分への展開の欠くべからざる媒介として
中世アラビアの代数学の役割を位置づけたことである。
インド、アラビアの数学の解説とその意義の叙述が、新しい知識なだけに、面白かった。
これまで、ギリシャの数学が、多少のアラビア数学の影響を受けただけで、ストレートに
近代数学に発展したものと考えていたが、本書によって、これが誤りなこと、中世アラビ
ア代数が本質的な役割を演じたことがわかった。

アルキメデスの解法をはじめ、本書には、いくつかの数学理論が内在的に解説されている。
幾何学だったり、数式展開だったリ、この部分はたぶん高校程度の知識を要する。
シニアの身としては、これらは斜め読みというところだが、それでも、大筋は明快に書かれ
ているので、不便はない。

その他ニュートンとライプニッツの微分積分学の創始者争いの章が、明快な叙述で、意外な
結論になっているのが面白い。
全体として、数学史(一般に何々史)研究の方法論の例示としても面白いし、数学史の叙述
としても(多少ハイブラウながら)面白いと思われる。
入門書でもないような気もするが ★★★★☆
 本書では、西洋数学史の起源として古代ギリシアの背景を知らしめることにはじまり、
アルキメデスの求積法やユーラシア数学(アラビア数学)を経て、ルネサンス以後の欧州で、
ニュートン、ライプニツによって微分積分学が成立するまでを追う。
「歴史内存在」との表現を多用することでも分かるように、すべて数学者とその理論もまた、
歴史によってその思考を規定されるもの、との筆者の主張から、単に数学的な展開の過程を
探るに留まらず、彼らが有したその文化的背景にも焦点を当てる。

 注意として、おそらくはかなり読者を選ぶ本であろうことを伝えておかねばなるまい。
 序論の中で「私が以下に提供する数学史は、一般市民のための微分積分学成立史である」
と、筆者が語りはするが、そのことは数学的知識をほとんど要しない、ということを
意味するものではない。たぶん高校レヴェルの微積分や極限を把握していないようでは
理解には相当難儀させられることだろうし、数学嫌いの人間を数学好きに仕向けられる
タイプの書き口ではない。正直、決して親切丁寧とも言い難い文体であるだけに、
むしろ、小難しいとのアレルギーをこじらせる一方のような気がするのだが、
さて、どうだろうか。
 そしてもうひとつ、しばしば見られる余計と言えば余計な氏のご高説、例えば、
「数学史を研究する功徳はさまざま挙げられようが、なかでも特筆すべきなのは、数学の
巨匠の傑作を発掘し、堪能できることであろう。卑小な数学者の凡俗な著作を無視できる
のもいい。それ以上に、業績を狙っただけの矮小な自らの書き物を遺すという恥をかかないで
済むことはもっとよい!」といった大演説が生理的にさほど苦にならない方だけが
読者としてはふさわしいのではなかろうか。
 もしかしたら、クーンのパラダイム論についての知識なども前提されるかもしれない。

 おそらく佐々木氏自身が考えるほど、間口の広い本ではなかろう。
 しかし、そうは言っても、高校レヴェルの数学知識でも食らいついていける本ではあるし、
時に暴走気味とも感じられるところはあるが、論理や筋立てはかなり明快で、
主張についてもしっかりとしている。
 数学に一廉の関心を寄せる人間が読んで損にはならない一冊に仕上がってはいることだろう。
ニュートン、ライプニッツまでの微分積分成立史 ★★☆☆☆

ユークリッド幾何学から近代西欧数学の誕生までをつづった微分積分学成立史の解説書。
ニュートン、ライプニッツが微分積分学の近代的概念を確立したところで終わる。

数学史の書籍を読むのが初めてだったせいかこの本でその面白みを感じることはできなかった。
時折出てくる具体的な説明もわかりにくさを感じたし、その数学史上の意義がなかなか伝わってこなかった。
誤植と思われるものも幾つか見受けられる。

文中の随所に古典文献が多く紹介されているが、内容の説明はほとんどないし煩雑である。
したがって、著者に対しては数学の古典文献学者という印象を持った。
文献も重要だろうが、数学の歴史の中身そのものを、そのおもしろさや数学的発見のすばらしさを
自らの言葉で語ってもよかったのではないだろうか。

自分の知識が乏しかったことを考慮しても、とにかく面白くて引き込まれるという類の著作ではないように思われた。
数学入門ではない! ★★★☆☆
 題が数学史入門とあるので、数学の初心者向けの本と勘違いすると大変です。
この本は数学史の入門書です。数学が専門ではないのですが、それを知らずに読むとわけ分かんなくなってしまいます。結構レベルが高いので、それなりの専門知識を持つ人でなければ読めないでしょう。独学(実質高卒)の僕も読めませんでした。