食事の健康法を調べていて極端な少食にも関わらず長年健康を保っている人が少なくないことを知ったが、そのメカニズムについて詳しく知りたくて本書を手に取った。書名の「たったふたつの原因」とは、人体がストレスによって低体温、低酸素状態になることを指すが、本書のメインテーマは低体温、低酸素状態を改善するための具体的方法論ではなく、人体のエネルギー生産の仕組みに着目して、健康のありかたを包括的にとらえ直すものである。
　本書の主張のキモになるのは「ミトコンドリア」である。本書では身体全体の健康論に主眼をおいているので、ミトコンドリアそのものの働きについては結論だけで詳細は示されていない。が、医者に見放された末期がんが消滅、全快したり、一日青汁１杯で15年以上健康に過ごしている人がいたりといった、まだ解明されていない人体の不可思議をうまく説明している点は興味深い。ミトコンドリアの研究は近年大きく進歩していると聞くが、今後、著者の主張するミトコンドリアに着目した新しいガン治療法が確立されていくのか、注目していきたい。
　なお、少食健康法についてはほとんど食べずに生きる人―引き算の生き方革命、「食べること、やめました」―1日青汁1杯だけで元気に13年を、ミトコンドリアについてはミトコンドリアのちから (新潮文庫)を参考にされたい。