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もつれっぱなし (講談社文庫)

価格: ¥669
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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さくっと読めて ★★★★★
全編会話のみという構成。

ちょっと変わった男女。ちょっと変わったできごとが、くどい説明もなく違和感もない会話で展開される。

会話のみという少ない言葉で的確に想像させる技術はすごいんじゃないですかね。

それって簡単そうに見えて難しいことだと思います。

さりげなくすごい ★★★☆☆
ふたりの男女の会話のみで構成された短編集.

紹介文などでもこの『会話のみ』という部分が強調されていて,
どれだけ珍しいことなのだろうと読み出してみたのですが,
特に変わった印象はなくさらりと読むことができました.

が,これは騒ぐほどたいしたものではないということではなく,
珍しい手法にも関わらず,それを意識させないということなのですね.

状況の描写も第三者ではなく,ふたりの会話の中で説明がされるのですが,
『いかにも』的な印象がまったくなく,自然とその世界がイメージされます.

短編ということもあり,テーマはさまざま.
作品が古いため,SFテイストのものでは目新しい印象に欠けますが,
逆に発表時期を考えれば,小道具なども含めて非常によく練られています.

ただ,多くの作品のお終いがフェイドアウト気味に終わっていくのが残念です.
明るいものはまだしも,シリアスなものまでぼかしたまま終わってしまい,
「それははっきりと結論を出さないと!」というもやもや感が少し.

それでも,実験的な作品なのにそれを感じさせないのはおみごと.
逆にこれに気づけないと『普通』の作品で終わってしまうかもしれません.
「凄い」の一言 ★★★★★
6作品を収録した短篇集。
いや~…この作品、本当に「凄い」作品だと思う。
この作品の特徴は2つある。1つは、全てが2人の人間の会話のみで構成されている、という点。会話が中心になっている小説、ではない、会話のみしか存在しない小説、である。そして、もう1つが、基本的な形は同じ、という点。全ての会話が男女の会話であり、全ての作品が「○○の証明」というタイトルであるように、一方が奇抜な事を言い始め、それをタイトルの通りに証明しよう…という会話となるのである。
これだけ形式が限定されると、ワンパターンな展開になりそうなものだが、全くそんなことはない。それぞれが、全く別のテイストを持っている。例えば、「宇宙人の証明」なんかは、完全にボケとツッコミの漫才のようなテイストだし、「四十四年後の証明」は、しんみりとした後読感がある。また「嘘の証明」なんかは、会話だけでありながら、嘘かどうかを巡るミステリ小説の持つような緊張感がある。会話だけで物語を作るには、会話の進め方、テンポの良さ、など1つ作るだけでも大変だと思うのに、それぞれに全く別にテイストを持たせる著者の文章力に素直に脱帽。
気軽に読める作品なんだけれども、それがこの作品の「凄さ」の証明なんじゃないかと思う。
痴話喧嘩も好きだけど ★★★★☆
 例えば突然自分の恋人が、
「まじめに聞いてね、いい、真面目によ?…私、実は宇宙人をかくまっているの」
(まあこの場合は、自分を男だと思っていただきたい。)
とか言ってナメクジを持ってきたら、
一体どんな反応をしますか?

まずは自分をからかっているのだと思う。
なのに彼女は怒って
「やっぱり信じてない」
とか言い出す。

目の前にあるのは、まごうとこなきナメクジなのに、
彼女の表情はマジ。
信じろと言われても、これはちょっと。
…だってナメクジでしょ、そりゃないぜベイベー!

 しかし、そのナメクジ型宇宙人が
本物だったりするから、始末におえない。
彼女の方にしてみれば、彼ならば分かってくれると
思って話したのに、ハナから信じようともしないのだから、

「やっぱりあなたもそういう人だったのね。
いいよもう、一人で解決するから帰ってよ!」
…ってなことになる。

 自分に理解できない事を、いきなり目の前にポンと置かれて
一体どこまで信じるか。
つまり、どこまで妥協するか。
常識と感情のせめぎあい。
そこがなんどもいえず、面白い。

 この本の中で起こっていることは、突拍子もないことだけど

あくまで人間は現実的だ。
この場合の現実的、というのは
冷静とかノリが悪いという意味ではなく
隣に住んでいても、なんら不思議ではない、という意味である。
題材は、現実ばなれしたものなのに
「こんなヤツいないって!」
「できすぎだってば」
などと思わせない、
それがこの本の醍醐味だ!
 と勝手に決め付けている。

幼稚園の息子がはまった「44年後の証明」 ★★★★★
突然、若い滝田に未来から電話がかかってくる。 相手は中学生くらいの女の子、コハクちゃん。滝田の孫だと言う。 最初は信じられなかった滝田だが、コハクのおばあちゃんの話を聞いて、話したこともない意中の女性にデートを申し込む決心をする・・・ 残された「44年」の意味とは?・・・