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流転の海 (新潮文庫)

価格: ¥620
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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〜 久しぶりに貪り読んだ一冊。戦後日本の烈しさを体感。 〜 ★★★★★
宮本さんの作品で、『錦繍』に負けず劣らず深い力を感じた一冊。

第二次世界大戦直後の大阪を舞台に、松坂熊吾という事業家の
生き様を中心に描かれる物語で、この熊吾の複雑で、それでいて
エネルギーに溢れたキャラクターに強く惹かれ、読み進めた。

事業家を描いた作品は多くある中で、その裏側にある人間の命
そのものの深淵さを克明に、かつ引き込まれるように描き切った
ものとしては、これまで読んだ中でも特筆すべきものだった。

また、物語の中盤以降、熊吾の妻である房江や、その他彼の
周囲にいる女性たちの描写が多くなるにつれて、全体により
一層のリズムが生まれ、読み進めていく原動力となった。

物語を決して熊吾一人の視点から描くのではなく、戦後復興の
陰で暴力や社会的立場に苦しんだであろう女性たちの目線を
取り入れたことに、強い共感を覚えた。

続編も是非読んでみたい。

▼ 本 文 引 用
日本中の人間が、みんな一から出直すのよ。(038)

友だちが、戦犯で絞首刑の判決を受けました。大学時代は鉢の
研究をしとったやつです。(略)私は、生きたいと思いました(132)

「苦労させるんじゃ。辛いめに遭わせるんじゃ」(略)
苦労と辛酸が、人間を歪めてしまう場合もある。しかし、それに
よって歪んでしまうか、反対に豊かな心根の持主となるかは、
その人間の持って生まれた資質の問題だ。(162)

いまここに百円あるとする。しかしその百円は、いままで一万円
持っとった人間が段々に落ちぶれて、それで残った百円なのか。
それともいままで一円しかなかった人間が出世して増やした
百円なのか。おんなじ百円でも意味が違う。それがどっちの
百円なのか、よう見定めにゃあいかんけんのお。(312)

わしは医学は知らんが、人間がどうやったら病気を直せるか
っちゅうことを知っとった(略)勇気を与えてやるのよ(357)
あったかい男の話 ★★★★☆
今現在で第五部まででているうちの第一部。
主人公の父親の言うように、火の玉のような男の話。
自分の旦那さんだったらすごく大変だろうなぁ・・・(笑)
でも、出会っていく女たちと同じように、なんだか惹かれます。
すぐ続きを読もう。
歴史ロマン小説であり、日本的なハードボイルド小説ともいえる ★★★★☆
戦後間もない日本の大阪での、松坂熊吾の再起を描いた、歴史ロマン小説であり、日本的なハードボイルド小説ともいえる作品。

50歳にしてはじめて我が子を授かった主人公の熊吾。病弱な息子を20歳まで見守るために、20年生きることを決意、会社を再興する。初恋の相手との駆け落ち、妻・房江との出会いなどを経て、様々な人と出会い、交錯する人間模様。傍若無人でわがままでありながら、どこか憎めず、畏敬の念さえ覚える主人公・熊吾。果たして彼ら家族は、この戦後間もない動乱の日本をどう生き抜いていくのか。っつー、ほんと、人生を綿密に描いた大河物語。

本作は、作者いわく、父と子の物語であるという。これは1作目であり、子供の伸仁(のぶひと)は生まれたばかり。終わりごろでも二歳前後。父と子の物語というよりもおじいちゃんと孫の物語、といったような差がある。実は本シリーズは5部作予定されており、まだまだつづくらしい。本作の中では割とさまざまな「思想」について描かれている。この時代に生まれた伸仁くんが、年頃のときには、きっと学生運動くらいかなぁ、なんて思ったけど、1969年には 22歳の計算だからちょっとおそいか。父と子の思想が衝突して、、といった展開を期待していたが、なさそうかも。ちなみに、「海」って「産み」とかけてる?
これぞ大河小説! ★★★★★
この自伝的大河小説「流転の海」は、まだ連載中である。本になっているのは
4巻まで。当初は5巻で終わるはずが、どうもこのままだと7巻ぐらいまで行きそうだ。
第一巻である「流転の海」は、伸仁(宮本輝)が生まれた昭和22年から始まる。
父である熊吾は、個性の固まりのような男だ。
決して学はないのに、はっとするようなことを口にする。
宮本文学の真骨頂である「警句」にあふれた文章に、私は何度もうなった。
たしかに熱心な創価学会員である宮本輝の文学は、
意地悪な味方をすれば「創価学会思想のプロパガンダ」だと言えなくもない。
しかし、共産主義には共産主義の文学があり、キリスト教にはキリスト教の文学がある。

私は公明党も創価学会も好きではないが、
そういう好き嫌いを超越したものが、宮本文学にはあると思う。
第二巻以降、熊吾は幼い伸仁に、いろいろと語りかける。
それはある時は掛け合い漫才のようでもあるが、
人間の本質をズバリと突いた言葉に、雑音抜きでうなずいてしまう。
人間の生き様を考えさせられる好著である。
日本人全ての親必読 ★★★★★
熊吾の親。熊吾の子。人として大切なこと。親として大切なこと。本当に大切だったことを、全ての日本人の血の記憶の中に甦らせて欲しい。親を想いながら子が、子を想いながら親が読むべき国民課題図書。