伊良部総合病院の地下にある神経科の精神科医、伊良部のところに24時間勃起しっぱなしという病に冒された営業マン、家のガス、電気、鍵をしめたか気になって、何度も確認のために帰宅してしまう強迫神経症のルポライターなどの患者がやってくる。が、そんな患者たちも引きまくる変人の伊良部。患者を振り回し、いい加減な発言も多いが、その中には核心に迫る言葉もあり、患者たちは次第に伊良部にのせられていく…。
直木賞を受賞した奥田英朗の『空中ブランコ』の伊良部シリーズ第1作が、松尾スズキ主演で映画化。松尾が自分の個性を伊良部にぶつけたことで、原作とは違う、映画版の新・伊良部が生まれた。しかし、松尾のひとり舞台と思いきや、勃起症の男を演じるオダギリジョー、神経症の市川実和子、ほかプール依存症の田辺誠一など患者を演じる役者たちの好演のおかげで、心の病がテーマの作品がユーモラスで後味さわやかな作品に。ストレスの捌け口を見いだせずに苦しんでいる人にオススメ。思い切り笑って心が軽くなること必至だ。監督はTVバラエティ&ドラマの演出を手掛けてきた三木聡。(斎藤 香)
アンチテーゼ
★★★★☆
原作は読んでいないのですが、面白いと思います。
この精神科医は、現実の精神科医を反転させた存在なのですね。
そこが何より面白いです。いわば『クワイエットルームにようこそ』の
アンチテーゼに位置するような作品だと思います。
抑圧された人間性を救うのは、科学や制度によるさらなる管理じゃなくて
あるがままの人間性、その通りだと思います。
原作の深みはない
★★☆☆☆
原作なして、これ単独のコメディー映画だったら、これはこれでいいかも。でも原作を読んでから観ると、やっぱりいまいち。伊良部、看護師のマユミちゃんがやっぱりミスキャストだと思う。原作で描かれた外見にも意味があって、そこを外してしまっては、やっぱりいけない。結果、原作のような伊良部のインパクトがなくて、印象が薄くなっている。また、原作の伊良部の突拍子もないような行動が、「ひょっとしてわざと?いや、それとも。。」と思わせるような深みがあるのに対して、映画では、そう思わせるようなものがない。これじゃあ、続きはないかな。
ナイスキャスト
★★★☆☆
現代社会の闇を扱っている気もするのですが
下ネタを中心にもってくることで
愉快な仕上げです。
伊良部先生の適当ブリも
なかなかうまく出てました。ナイスキャスト。
好演です。
3本のエピソードがすこし拡散したまんまなところと
終わり方が唐突だったのが気になったけど
まぁ、そういうもんなのかもしれない。
独特で引き気味だった世界に、いつしか自分も吸い込まれ・・・
★★★★★
精神科医とプール依存症、強迫神経症、継続勃起症の患者たちのお話。
独特で引き気味だった世界に、いつしか自分も吸い込まれ、自分もそんなところあるかも・・・と、思ってしまう。
じつは、この映画を観た自分は、冒頭の「踏まれフェチ」のように、最後には危ない世界がみたいフェチとなっていた!?のかもしれない。
それから、プール依存症患者の結末。
極限まで達した彼のプールへの飛び込み。
そして、伊良部先生のもとへ診察に行くシーン・・・。
最後までわかりそうなオチって、観た後、「やっぱり〜」って思うんだけど、
最後までみてしまうのは、わかりきったオチがみたいフェチなんだろうか・・・。
単純にコメディとしておもしろかった。
★★★★☆
原作も大好きですが、映像化したこの作品も楽しく観れました。そういった意味では、数少ない名作かも知れません。