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虚人たち (中公文庫)

価格: ¥740
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論社
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とんがり続ける筒井の超実験作 ★★★★★
70を過ぎてライトノベルに進出。ネットがまだ一般的でなかった頃に双方向性小説を執筆。等々過激な創作を続ける小説家筒井康隆が純文学の世界に殴り込みをかけたこの作品。主人公の意識に合わせて1分間=原稿用紙1枚というペースで描写しているから眠っている間はページが真っ白!「ふざけるな」と怒り出す人もいるでしょうね(笑)結構難解なので巻末の解説やエッセイ集『着想の技術』に目を通してから読んだ方がいいと思います。はっきり言って筒井作品初心者にはお勧めできません(笑)でも筒井毒者にはたまらない逸品です。
"虚構性"と人間心理の"不確かさ"を究極まで追求した独創的な傑作 ★★★★★
常に小説の"虚構性"を強調し、表現技巧に工夫を凝らす筒井が新しい挑戦を試みた意欲作。小説の"お約束"を全て放棄してしまうと言う破天荒な実験作だ。

一応、妻と娘を誘拐され、誘拐犯に昏倒させられた主人公が目を醒ます所から物語が始まるのだが、物語の進行が尋常ではない。「不確定性至上主義」を標榜する主人公の意識の絶え間ない流れの描写だけで話が進むのだ。まるでビデオカメラで主人公の頭の中を映し出しているよう。そして、その像は恐らく虚像なのだ。登場人物どうしの確かな関係や会話で意志を疎通し合うとか、リアルな風景描写をするとかの通常の小説作法は主人公(=作者)の頭にはない。「小説の登場人物やその言動はその物語の中では"現実"である」と言う前提を端から否定する。主人公が構築する虚空の世界が全てで、その中で主人公にとっては時間・空間的制約はなく、しかも主人公の思考・視点は「不確定」なのだ。冒頭の誘拐劇も真実か否か不明である。本作の内容は主人公が昏倒している間の無意識の世界かも知れない。そして、筒井の実験小説で良く見られる読点を使用しない計算された文体。ここまで通常の小説の"お約束"を破れるのかと感心する。誘拐事件を放っておいて、主人公が時と場所を越えて、取引先の会社を訪れたり、行きずりの男の妻の家を訪れたり、自身の会社を訪れたりするのも違和感がない。他の登場人物も各々の世界を持っているらしいが、主人公の世界では飽くまで虚像である。小説における"現実性"を徹底的に排除した"(虚像としての)自我の世界"である。実験作でありながらスリルやある種の怖さを味あわせる展開も見事。いつもの言葉遊びも健在である。

小説中の"現実性"を無謬に信じる一般の小説の"お約束"を嘲笑い、小説における"虚構性"と人間心理の"不確かさ"を究極まで追求した独創性溢れる傑作。
小説とはなんであろうか ★★★★☆
読後、小説、物語のルールの多さに気付かされる。そしてそのルールが破られる(暗黙の了解を否定する)と、どれほど七面倒くさくややこしい事態になるかも懇切丁寧にこの作品は示してくれる。
小説、物語のルールが破られているのだから、これは小説ではないのかもしれない。しかしこれはフィクションである。メタフィクション要素もある。となると、これはなんであろうか。
これは小説がどのように書かれていくかを描いた私小説的な、壮大なクエスチョンではないかと思う。つまりこれは小説であり、小説ではなく、私小説的な問題定義である。
つまるところ、小説とはなんであるかという問題を投げる挑戦だ。
うーん ★☆☆☆☆
 筒井康隆、短編はめちゃくちゃ評価しています。
 この小説、やりたいことはよくわかる。登場人物が虚構の中にいるという大前提、作家が無視しなければならない大前提を無視した、大胆な作品。
 なんだけど、それだったらもっと他にやりようがあったんじゃないのだろうか、と思った。
 とにかく、僕は読むことを放棄せざるをえなかった。
暗黙の了解 ★★★★★
æš-黙の了解、というものがある。言è'‰ã«ã¯ã§ããªã„ものの「ã"れã‚'やってはいã'ない」であるとか「ã"れはやらなã'ればならない」といった集団の中でå-ã'å...¥ã‚Œã‚‰ã‚Œã¦ã„る決まりã"とのã"とである。

小説の中にもã"のようなã"とはある。マンガにも映ç"»ã«ã‚‚、だ。ã"の展é-‹ã§ã¯ã"ういう風になる、とか大ä½"ãƒ'ターンåŒ-されているのはそのためである。æš-黙の了解から逸脱すると、読è€...は違å'Œæ„Ÿã‚'感じたり不快感ã‚'感じたりするã"とが多いため、作è€...å'はそれã‚'意図的に回避するのだ。

ç­'井康隆はã"の『虚人たち』で意図的にæš-黙の了解ã‚'逸脱ã-ている。å½"たり前の決まりã"とã‚'無è¦-ã-、黙殺ã-、ぶつかっているのだ。読è€...の中にはあからさまに不快感ã‚'表明する人é-"もå±...るはずである。ã-かã-、ã"の不快感ã"そ作è€...の意図すã!‚‹ã¨ã"とではなかろうか? 読è€...が作り物のフィクションã‚'読ã‚"でいるのだ、というã"とã‚'意識するように仕å'ã'るã"とã‚'、である。
ä¸-ç'€ã®å•é¡Œä½œã§ã‚る『虚航船団』とå...±ã«ã€ã"の作å"ã¯ç­'井康隆の実é¨"的作å"ã®ä»£è¡¨ä½œã§ã‚る、と言えるだろう。誰もがå-ã'å...¥ã‚Œã‚‹ã"とができないものであろうが、だ。