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虚航船団 (新潮文庫)

価格: ¥830
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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とりあえず、まあ読め。 ★★★★★
出版当時は「なんで文房具や鼠に感情移入しなければならないんだ?」と頭の固いヒトから攻撃を受けたこの作品。逆に若いマンガ・アニメ世代には取っつきやすいと思います。
『ネジがゆるんだコンパス』の気持ちを考えることができますよね?『世界史の残虐な部分』を鼠の習性にしてしまえば、かえってわかりやすいでしょ?そういうことなんです。
第3部はそれまでに丁寧に描かれていた登場(人)物が戦争をします。戦争のドサクサにまぎれて、作者とか#とか変なものも登場します。すべてが絶頂を目指して突き進み、その結果として…
すべてが終わった静けさの中、本当の主人公が登場します。彼は物語の最後を静かに、たった一言で締めます。
作者自身の解説『虚航船団の逆襲』もありますが、できれば先入観無しで読んでほしい作品です。円熟期の筒井が持てる武器をすべて使い果たした傑作です。
罪深い傑作! ★★★★★
鬼才・奇才 筒井康隆が満を持して世に出した壮大な
S(シューリアリズム)F(ファンタジー)。

全3章からなるこの作品には純粋な人間は一切登場しない。

1章は文房具を擬人化したものが登場し、舞台は宇宙船。
登場人物はほぼ全員が気が狂っていると言う設定である。

2章は鼬(げっ歯類)を擬人化したものが登場。
とある星(地球を揶揄している)の高等生物である鼬連中の歴史
(中世〜現代の主にヨーロッパ史のパロディ)を追う。

3章は文房具を乗せた宇宙船が鼬のいる星に攻め込み両者の戦いが
パラレル(時間および空間の平行世界)的に、
それに加えて作家自身の身の回りの世界がスラプスティックに描かれている。
ちなみに3章のほとんどは改行無しで文字が満載されていてお得感が味わえる。

とにかくハチャメチャ。で凄く面白い。
文学と言うものにある一定のイメージを持ってる人は読まぬほうがいいであろう。
間違いなく最初の数ページで嫌になるだろうから。
文学とは何でもありなのだ、何やっても構わないのだ、
と言う人にとっては傑作であろう。
この作品が今から20年も前に書かれている衝撃。いや笑撃!

文学とはよりかっこよくスタイリッシュなものだと定義づけ、
たとえ文体をいくらハードボイルド風にしても中身が伴わなければ全然意味がないのである。
誰も読みませんそんな作品。

作家を目指している人間がこの作品を読んであまりのショックに塞ぎこんだとしても
それはその人間の所為でもなければ才能が無いわけではない、
筒井康隆に才能があり過ぎなだけなのだ。

ある意味罪深い傑作。
僕はこれで「文学」を知った ★★★★★
記憶に残る限り、初めて自主的に手にとって読んだ文学作品。
文房具たちの繰り広げるどたばた騒ぎとどこまでも続く文章に頭の中が「?」でいっぱいになり、
第三章のラストでは砂漠の中でつぶやかれる不毛な「希望」を、どう受け止めれば良いのかわからなくなった。
それがトラウマとなって筒井作品を次々と読む羽目になり、わけもわからないまま今も文学作品の世界を彷徨うことになったわけです。
初心者に向いているかといえば必ずしも自信はありませんが、
少なくとも私にとって筒井康隆の最高傑作といえばこれです。
圧倒的 ★★★★★
まさに傑作。圧倒的な想像世界の物語。SF。実験手法。遊び。ドタバタ。歴史。心理学。狂気。正気。熱気。全てが迫ってくるようです。
しかし、あらゆる人に勧めて貸しても多くの人が未読で返してくる問題作。筒井小説未読者がいきなりこれは厳しいかもしれません。
ほとんど全員が気が狂っている文房具たちの紹介と残忍な鼬たちの歴史物語の後の第三章ではどこかブラッドベリの火星年代記に似た印象を受けます。
素直に世界観を受け入れられれば、何度でも読める、筒井氏の頂点を成す作品ではないでしょうか。
読後、ホッチキスが好きになりました。
筒井好きは必読 ★★★★★
 筒井康隆は馬鹿馬鹿しいことを尋常じゃないバイタリティでやってしまえる人だと私は思っているのだが、その最たる例がこの作品だろう。気の違った文房具が船で旅をする、とこう聞けば単なるドタバタ小説かと思われるかもしれないがその描き方は全くもって真摯であって、数十種類の文房具による人間?模様は凄まじいことになっている。第二部にいたっては歴史のパロディで、延々と鼠の住む星について描かれる。ここがとんでもなく長い。そして二部での淡々とした進行をぶち壊すかのような第三部。ここにこの作品のカタルシスがある。600ページ超の長編小説。これを読みきるにはかなり疲れるし、上記の様な事を聞いて読む気にならない人もいるかもしれないが、筒井康隆が好きであればこれは是が非でも読まなければならない一冊である。どこまでこの人についていけるか、それがこの本では試される。最後まで読みきったからといってどうということはないが、私は筒井御大に拍手を送りたいような気持ちになったし、異常なほどの爽快感がある。長い小説を読みきったにも関わらず、それは単なる文房具の戦争である。馬鹿馬鹿しくもあるが、こんなことでも本気でやってしまえば芸術の域に達するのだということがわかる。全盛期の筒井康隆の圧倒的なパワーで描かれた傑作である。