筒井自身の身を削った作品
★★★★☆
梁山泊を模した怪しげな評論家集団を描いて、ブラックで歪んだ笑いを誘う作品。当時の筒井の社会風刺とブラック・ユーモアを詰め込んだような怪作。
だが、筒井自身、当時の世間からは作中の評論家と同じような目で見られていた筈なので、この作品は筒井が自身の身を削って開き直りを見せたものと言える。怪しげな評論家達は筒井の分身なのだ。自身を構成する諸要素を「俗物図鑑」と言い切る筒井は潔い。
自身の持つ俗物性、ブラック・ユーモア、風刺精神を作中の怪しい評論家に仮託して描いた力作。
世界を嘲笑う筒井康隆
★★★★☆
30年前は茶化してやってた部分があるような、無茶苦茶なドタバタも、最早この時代には有り得ないこともないものとなってしまった代物。2000年頃に頻出した怪しげな宗教団体を見るにつけ、この作品を想起せざるを得なかった。
初期の筒井康隆の本領とも言える、社会風刺、スラップスティックをこれでもかとばかりに長編小説にぶち込んでグチャグチャにかき回したような作品。正にタイトル通りの俗物図鑑。筒井康隆の代表作のひとつに挙げられるだろう。
筒井最高傑作のひとつ
★★★★★
30年くらい前の作品ですが、古臭さを感じさせない。
こんなに世の中をチャカしていいのか!こんなことを
パロっていいのか!という驚きとカタルシスに満ちています。
1980年代に入ると筒井さんは南米文学や実験的手法に
エネルギーを割きますが、その前段の大爆発、とでも
言えばいいでしょうか。読むべきです!
これは、現代日本への挑戦だ!
★★★★★
最高のブラックユーモア!筒井氏の内に秘めたる日本への欲求不満が全てこの作品にブチ込まれている。それは、とてもリアルにそして美しく描かれている。盗聴、横領、出歯亀、放火、麻薬などこれらのタブーは一見、日常の生活からかけ離れているように思うが、それらの欲求は誰にでも多かれ少なかれ持っている。これらのタブーを引っさげて筒井康隆が現代のぬるま湯につかった日本に喝をいれる!
ラストの壮絶さは圧巻
★★★★★
いろんなエキセントリックな評論家がいっぱい集結し、そして結束を高めていき、梁山泊という会社をつくっていく話なのですが、だんだんと登場人物が混沌としていき、世間やマスコミそして国までも敵にまわし、最終的には壮絶なラストが待っています、こんなにまで壮絶なラストはなかなか無いと思います、読んだ方がいいです、自分達の理想や思想をまげない人達がどうなるのかを。