超優秀な幹部候補生5000人あまりの中からサバイバルを勝ち抜けてきた男
★★★★☆
「20世紀最高の経営者」ウェルチの後任ってどんな人だと思う?
普通の人だったらプレッシャーで押しつぶされるでしょ?
しかも後任のジェフ・イメルトがCEOに就任した直後から逆風が吹き荒れる。
9・11、エンロン事件、原油高騰、サブプライム問題に端を発した金融危機など、
あまりにも過酷な時代に偉大な経営者の後任に選ばれた人物。
しかし、世界最大のコングロマリットの超優秀な幹部候補生5000人あまりの中から、
サバイバルを勝ち抜けてきた男は並みの器量ではない。
就任直後こそ、その処理に手間取ったが、
イメルトの就任後5年間でGEは60パーセント大きくなり、利益は倍増している。
短期計画では確実に利益を出しながら、
グローバールリサーチセンターとリーダーシップ・センターという、
新技術に関する投資や、人材の育成をする長期計画へも力を注ぎ、
変革する強い組織を維持していくための体制や仕組みを確立している。
世界規模の企業においても、常に市場に合わせて変革していけるのだから、
日本の企業ができないという道理は通らない。
ここまでのレベルだと超人的な別次元の人といった先入観を持つかもしれないが、
仕事をするか家族といるかというイメルトの価値観は、
ウェルチよりも親近感が持てて、経営理念も日本人に理解しやすいので、
本書から経営に生かせる部分は非常に多いと思う。
また本書は、一人の聡明な青年が世界最大の企業TOPまで登り詰める物語りとしても、
楽しめるので非常に読みやすく、学生から経営者にまでおススメできる貴重な本。
後年、21世紀を代表するような経営者と呼ばれる可能性がある人物なので、
本書を読んで、その動向をウォッチしていくのはとても有意義だと思う。
基本に戻るということ
★★★★★
この本は、リーマン以後の経営者がどうあるべきかをよく語っていると思う。かつ、この本が、リーマン以前に書かれていたことは注目に値する。リーマン以後の経営者の姿は、基本に戻れ!ということであると思うが、金融危機などに早くからさらされていたGEは、イメルトという経営者が先手を打って変革することにより、昨今の危機への準備ができていたものと思われる。世界中の国を回って、多くの事業部の製品をトップセールスする様子など、日本の経営者が原点に戻って行わなくてはならないことであろう。
想像を絶する大仕事を完璧にみせる
★★★★★
読後の感想として、「GEの経営を自分もできるんじゃないか?」と世紀の勘違いをしてしまつた。orz
企業文化・思想・倫理・ヴィジョン・戦略・戦術・計画が全くブレていないように感じた。
それ故、仮にトップの一人だろうが、誰だろうが一時的に抜けてしまっても、しばらくは問題なく運営されていくのだろう。それほど、盤石な企業というイメージを本書で受けた。
また、長期計画と短期計画、企業文化の保持と改革など、一方に手を加えると、他方が手の届かなくなりそうな事象をもしっかりと成し遂げる点が驚愕に値する。
その証明として、イメルトが就任直後であるにもかかわらず、矢継ぎ早に起きている危機的状況を、他の多くの企業が致命傷を受けている中最小限の影響に抑えている。
そればかりか、積極的に将来へ向けたイノベーションをおこしている。
象徴的なのがグローバールリサーチセンターとリーダーシップ・センターである。莫大なコストをかけていることから伺い知れる。
イメージで例えると、大地震の中で細高いタワー型企業が大揺れしているのをよそに、その背景ではピラミッド型の企業であるGEが状況を判断して変革しているようである。
実は自身の身の回りでは、GEとそれほど接していないことに気がついた。
これから「理想と現実」の実態が一致しているのか本書を置いて、実際に確認し注目していきたい。
経営環境が悪かろうが業績を主軸から外さない勇気
★★★★★
ジャック・ウェルチからGEを引き継いだことに世間の注目が集まったが、それ以上にイメルトにとって就任直後の911事件、エンロン事件、原油高騰、サブプライム金融危機といった経営環境は厳しいものだったろう。その中で売上をウェルチ時代から60%以上拡大し、利益を倍増させたことからも、いかにGEおよびイメルトが「業績」にこだわって経営をしてきたかがわかる。世界が不安につつまれる中、善良なビジネスや社会貢献といった言葉で業績に目を閉じてきた節が私にもある。社会に役立つサービスや製品を提供した対価としての利益は、世界がどんな状況であろうと重要な軸であったことに本書で改めて気づいた。自律した人間や組織の強さこそが、社会をよりよい方向へ変える原動力となれるのだと思う。2010年に社会が力強さを取り戻すためにも本書をオススメしたい。
21世紀のリーダーシップ
★★★★☆
ジャックウェルチの後任としてGEのCEOに就任してから、
9.11事件に始まり、エンロンワールドコムショック、原油の高騰、
そしてサブプライム問題から現在の金融危機。
めまぐるしく変わるアメリカ経済のなかで、
大企業GEをひっぱっていくイメルトの方法は、
とてもシンプルだ。
○毎日何かを学ぼうと努力すること(知識への渇望が必要だ)
○情熱をもって仕事に励むこと(能力と気力があればたいていの問題は解決できる)
○信頼される存在であること(生き残りが難しくなりつつある中で、信頼が差別化要因になる)
○自信を持つこと(世の中を変えられると信じよう)
○楽観的であること(今や誰もが皮肉屋だ。ひにくれた考え方は自分を蝕む。言いわけの種になるからだ)
学生時代、アメリカンフットボールのリーダーを務めていた彼ならではの、
ウェルチとは違った愛されるリーダー。
仕事をするか家族といるか、といわれる彼の生き方は、
GEをすでに38年勤めた父の影響も大きかったのだろうと思われる。
「生涯一社、妻一人」というイメルト。
今後の展開をもっと身近に感じるためにも、
いまのうちに一読をおすすめしたい。