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クリスマスに少女は還る (創元推理文庫)

価格: ¥1,296
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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不思議な感動 ★★★★★
読後、心に残るミステリーは以外と少ない。
そんな中、この本は 心に余韻を残す一冊だと思う。

ストーリー自体は、そこまで筆舌するほどのものは無い。
唯、登場人物達がとても魅力的だからなのかもしれない。

主人公ともいうべき、新米捜査官ルージュ。
彼は、幼いころ双子の妹を誘拐された上、殺されるという過去を持つ。
双子というものの、その血の濃さを ルージュは決して自らは語らないが
周りの者達の話から垣間見ることが出来る。
その傷が、どれだけ深いのかは ルージュの寡黙で淡々とした行動が
静かな怒りとして、哀しみの深さが相乗されて伝わってくる。

そして、冒頭で謎の女として登場したアリ。
顔の半分に、醜い傷を持ち、それを隠そうともしない。
整形をしようともせず、まるで「見て」と言わんばかりのアリ。
若くて教養もあるアリの過去が、気になって仕方が無い。
その傷の意味が最後の最後に明かされる。
アリの背負ってきた哀しみがわかった時、思わず目尻が熱くなった。

そのアリの叔父も、どうしようもないものを背負って生きている。

そして、特筆すべきは 誘拐された2人の少女、サディーとグゥエンだ。
この2人の会話は、必死に生きることを考えて行く強さがある。
10歳の少女達の逞しさ。
弱気になり、もうダメだと挫けそうに何度もなりながらも
「戦う」ということを持ち上げる強さに、心を打たれる。
囮として使われたサディーが、何よりも魅力的だ。
そして、その母のベッカ。
こんな母親はそうそういない。
決して優等生ではないサディー。
それでもみんなが愛さずにいられないサディー。
「みなさんは、あの子を愛さずにいられなくなるわ」
この一言に、母としてのすべての愛情が現れ、読んでいる者の胸を打つ。

ラストは、決してハッピーエンドとは言えないけれども
不思議な感動を貰えた。

何年か経って、又 読みたいと思わせてくれる本のリストに
加えらました。
原題の意味 ★★★★★
ミステリと思って読んでいたんだが、途中から真犯人や過去の謎解きは二の次になってしまった。
この物語の主人公は、間違いなく誘拐された少女たち、サディーとグウェンだ。
ホラー映画マニアの二人の会話がめちゃくちゃ楽しい。
薄味な 「大人たち」 の中にあって、一際魅力的なのが、サディーの母親ベッカ。あの母にしてこの娘あり。
あと、警察署の女性職員マージ。なんとも、「抱かれたい」 女性たちだ。
「巧緻を極めたプロット」 だの 「超絶の問題作」 だのという過剰な宣伝文句はどっかにおいとくとして。

「みなさんはあの子を愛さずにはいられなくなるわ」

はい、愛おしくなりましたとも。
こうくるとはな。泣かされてしまった。
糸の目立つマリオネット ★★★☆☆
オースン・スコット・カード「消えた少年たち」とメアリー・W. ウォーカー 「神の名のもとに」を足して3か4で割ったような作品。カバーの紹介に「巧緻を極めたプロット」と書かれていて、確かにそのとおり技巧を凝らした作品ではあるけれど、それが成功してるかというとちょっと疑問。技巧を凝らすために無理してるな、作りすぎてるなというところがかなりあり、それが気になりもうひとつ作品の世界に入り込めなかった。それがなければラストでもっと感動できたのに。惜しい。
認めたくない ★☆☆☆☆
不満だ、大いに不満だ。今からでもなんとかならないのか。何故ああいう終わり方なのだ。今からでも変えてもらいたい。そうすれば10個くらい星を与えたいし、今後の人生において何度でも読む本の筆頭に掲げてもいい。

単なるミステリーとして読めればよかったのにと思う。しかし個人的感覚として、この本を読み終えた人のほとんどは、単なるストーリーテラーとしてのテクニック云々ではなく単純だが正直な人としての感情を吐き出すであろうと思いたい。

試しに時を経ず連続して読んでみるといい。・・とえらそうに書いたが実は私には出来なかった。二人の少女のシーンはとてもじゃないが読むことができなかった。そのシーンは飛ばして読んだのだ。私は目をそむけた。否定したかったからだ。同時に作者に対するうらみ節があらためて湧き起こる。

私はマロリーが大好きではある。この作品においてもキャロル・オコンネルという作者がここまで私を動かしたのは彼女の力量であるとわかってはいる。わかってはいるがこの作品ではどうしても彼女を認めたくはない。絶対認めてやるもんか。結末を変えて欲しい。

認めたくない ★☆☆☆☆
不満だ、大いに不満だ。今からでもなんとかならないのか。何故ああいう終わり方なのだ。今からでも変えてもらいたい。そうすれば10個くらい星を与えたいし、今後の人生において何度でも読む本の筆頭に掲げてもいい。

単なるミステリーとして読めればよかったのにと思う。しかしこの本を読み終えたほとんどの人は、単なるストーリーテラーとしてのテクニック云々ではなく単純だが正直な人としての感情を吐き出すだろうと個人的感覚では思う。

試しに時を経ず連続して読んでみるといい。最初から泣けてしまう。それと同時に作者に対するうらみ節があらためて湧き起こる。

私はマロリーが大好きではあるが、キャロル・オコンネル、この作品では彼女を認めたくはない。絶対認めてやるもんか。