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氷結の森 (集英社文庫)

価格: ¥900
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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冒険小説の趣の強い、<森シリーズ>マタギ3部作の完結編 ★★★☆☆
過去も故郷も棄て流浪する男と彼を追う男。20世紀初頭の北東北・樺太・ロシア。流転する人生の行き着く先は・・・? 

「相剋の森」、直木賞・山本賞ダブル受賞作「邂逅の森」に連なる<森シリーズ>マタギ3部作完結編。とはいえ、本書は前の2作品とはかなり趣を異にしており、歴史冒険小説に仕上がっている。

第一次世界大戦が始まって4年。柴田矢一郎は故郷の秋田県阿仁を離れ、樺太の鰊場、伐採現場・・・と、ひとところに落ち着かず、流浪の生活を続けている。そんな彼を探し回る男・松岡辰治は、矢一郎の死んだ妻シズの弟だった。辰治は矢一郎を姉の仇と思い、10年も追跡を続けていたのだ。雪深い森で、辰治の散弾銃を浴びた矢一郎は、危機一髪、先住民族ニブヒ族の猟師・ラムジーンに救われる。彼の娘タイグークを連れ去った一味を追って、矢一郎はサハリンから凍結した間宮海峡を越え、ロシアに渡る。娘を探し出し樺太に送り届け、彼に思いを寄せ続ける香代と所帯を持とうとするが、またしても過酷な運命が矢一郎を待ち受けているのだった・・・。

結末が、ロシア(ソビエト)のパルチザンとの戦いで、哀しくて何ともやり切れない。
邂逅の森が凄すぎて。。。 ★★★★☆
氷結の森 熊谷達也 集英社 2007

熊谷氏(1958− )の作品はだいぶ読んだ。邂逅の森が良かったからだ。多くの作品に動物や自然と生きる人々が登場する。しかし、その後、ちょっと期待外れの作品が続いたこともあって彼の作品から遠ざかっていた。そして久々に買い置いてあったこの熊谷作品を読んでみた。
今回の作品は日本を離れシベリア、サハリン、ソ連が舞台となる。どこか黒沢明監督のデルスウザーラを想い出させる様な漁師が登場したりする。おそらく参考文献として挙げられている多くの書を読み込んで書かれたからだろう。
フィクションでありながらリアリティーを持って読み進んでしまう。
1人の男、それを取り巻く人々、そこには他者との関係性無しには生きられない人間のサガが見える。
微妙でした ★★★☆☆
 「邂逅の森」からつながるマタギ3部作シリーズの完結編にあたる…と考えていましたところ、趣としては微妙にズレていたように感じましたが、一気に読めました。惜しむらくは、もう少し「自然の…」という土台に視点を定めてもっと深く書いてもらいたかったことと、ラストの少々やりすぎ感…でしょうか。
 また、矢一郎の人格が多少「できすぎ」かな、とも思います。矢一郎の人生経験を考えると、この背景ではもっともっと人間的にブレがあったり、もう少し狡賢くなってもいいんじゃないでしょうか。
 とはいえ、この筆者独特の筆致には勢いがあり、繊細ではあっても決して線の細くない強さがあり、その魅力は絶妙。今後もますます期待が高まります。

 ただ! この三部作、表紙デザインは確かにとっても「キレイ」なんですが、この作者とは合わないように思いました。
 パソコンであれこれいじってみました、紙もこだわってみました、という昨今の弱々しいバーチャル感が強く、この作品の内容の重さや格が、こういう軟派テイストのデザインに侵略されている感じがして残念でした。まあ、本棚に置くにはキレイなんですが…。
冒険小説の趣の強い、<森シリーズ>マタギ3部作の完結編 ★★★☆☆
過去も故郷も棄て流浪する男と彼を追う男。20世紀初頭の北東北・樺太・ロシア。流転する人生の行き着く先は・・・? 

「相剋の森」、直木賞・山本賞ダブル受賞作「邂逅の森」に連なる<森シリーズ>マタギ3部作完結編。とはいえ、本書は前の2作品とはかなり趣を異にしており、歴史冒険小説に仕上がっている。

第一次世界大戦が始まって4年。柴田矢一郎は故郷の秋田県阿仁を離れ、樺太の鰊場、伐採現場・・・と、ひとところに落ち着かず、流浪の生活を続けている。そんな彼を探し回る男・松岡辰治は、矢一郎の死んだ妻シズの弟だった。辰治は矢一郎を姉の仇と思い、10年も追跡を続けていたのだ。雪深い森で、辰治の散弾銃を浴びた矢一郎は、危機一髪、先住民族ニブヒ族の猟師・ラムジーンに救われる。彼の娘タイグークを連れ去った一味を追って、矢一郎はサハリンから凍結した間宮海峡を越え、ロシアに渡る。娘を探し出し樺太に送り届け、彼に思いを寄せ続ける香代と所帯を持とうとするが、またしても過酷な運命が矢一郎を待ち受けているのだった・・・。

結末が、ロシア(ソビエト)のパルチザンとの戦いで、哀しくて何ともやり切れないのが残念だ。
これは冒険小説です。 ★★★☆☆
これは冒険小説です。
マタギ三部作ということで手にとりましたが、前二作とは赴きが大分異なります。
主人公の柴田矢一郎は、日露戦争出征の経験もある秋田の阿仁の出のマタギの男…
ワケあって、今は過去を捨て言葉も捨て…ひとり北樺太を流浪する身。

絶対的極限に近い厳しい気候が人間を拒絶しつづける樺太、そしてロシア。
現代の大多数の日本人がすでにすっかり忘れ去っているにちがいないこの場所に、
ロシア人や中国人、朝鮮人、また土地の先住民のニブヒたちなど、
他民族が混在し、互いの動静を窺いあう中で、これだけ生き生きと日本人が生き、
コミュニティを作っていたのだということをはじめて知った。
当時は、今以上に国際感覚を持った真の意味での国際人といえる日本人が、
人知れず精いっぱい生きていたのだろう。
そのたくましさに先ずはあっぱれ!という感想をもちました。

物語は、主人公の律儀さに、時に賛同し、時に溜め息をつきながら、物語に翻弄される。
最初に述べたように、この作品は冒険小説だと思います。

マタギとしての経験から、狙撃の腕が並ではない矢一郎は、
さしずめデイヴィッド・L. ロビンズが書いた「鼠たちの戦争」の実在した主人公、
ソ連の天才的狙撃手、ザイツェフ曹長を彷彿させるとともに、
北欧のやはり厳しい北の自然の中で生きるギャビン・ライアルの小説の主人公を思い出します。