古書探偵ものは前作で終了。今回は実質、新シリーズ第1作。
★★★★★
古書店主、ジェーンウェイを主人公を中心したシリーズ第4弾。
前作「災いの古書」は、
第T作、第2作の書籍ミステリーものから、
ハードボイルドタッチに作風が変化しましたが、
今回の作風もその延長線にあります。
はっきり言って古書は出てきません。
ほんのおまけ程度。
代わりのテーマは競馬。
競馬場、厩舎、サラブレッド、芝生、馬丁、馬主。。。
カリフォルニアに舞台を移した競馬にまつわる情景描写は美しくて、
従来の密室型の事件展開に比べると、
テイストが大幅に変わっています。
更にジェーンウェイの言動も、ますますハードボイルド。
思い切りチャドラー風。
謎解きというより、乾いた会話、主人公の内面描写を楽しむ作品になっています。
文章がしっかりしていて、キャラクターもはっきりしているので、
小説としては上出来。面白いです。
次作もあるようです。
どうやら古書はネタ切れのようですから、
新シリーズの第1作として、本書を読むべきでしょう。