森で迷子になることをめぐる物語
★★★☆☆
アメリカ人女性作家。
ケリー・リンク著。
短編集。
『妖精のハンドバッグ』
『いくつかのゾンビ不測事態対応策』。
『大いなる離婚』。
『ザ・ホルトラク』。
等。
変わった題名の短編。
内容も。
ちょっと変わってる。
コンビニエンスストアで暮らす若者の話だったり。
ゾンビが現れたらどうする?ということを考える男の話だったり。
幽霊と離婚したい男の話だったり。
一筋縄ではいかない。
印象に残った文章。
『約束してほしい、こんな話一言も信じないって。』
印象に残った冗談。
『ゾンビは絶対に一人だけではない。』
一度文章を見失うと、戻ってくるのが難しい短編集。
『これは森で迷子になることをめぐる物語である。』
うん。
そのとおり。
迷子が苦手な方にはおすすめできない本。
入れなかった・・・・・
★☆☆☆☆
この本、評価高いですね。書評もおしなべて高得点。
好きな人にはたまらないんでしょう、この世界。
でも、、、
私は入れませんでした。
作品世界にも、この著者の世界観にも。
これほど読みにくい小説は初めてというぐらい。
訳者が敬愛する柴田元幸氏なので、訳文が悪いとかでは
もちろんなくて、私がダメだったんでしょう。
作者のぶっとんだ想像力、確かにすごい。
でも、どこまでも暗く、気味悪く、おぞましい想像力。
ホラー、特に、ゴシックホラーというのか、そういった
ものが好きな人にはいいのかな。
理屈っぽくて気持ち悪い話、が好きな人とか。
アメリカの女性作家の短編集が好きなので、その系列かと
思って買ってしまいましたが、かなり特殊な内容です。
高評価にとびつかず(ってそれは私)、本屋さんで3ページぐらい
読んで、自分に合うか合わないか、確かめてから買うことを
おすすめします。
異様なほどユニーク
★★★★★
異様である。世界が言葉をつむぐさきからどんどんと形作られていくようだ。
これぞ小説を読む楽しみ。とりわけ「石の動物」が印象に残った。SFの極北という言葉が頭に浮かぶ。
いまどき、真にオリジナリティのあるものなんてほとんどお目にかかれないとも思うのだが、この作品はともかくユニーク。
いったいどうやって書いているのか、どんな頭なのか。女性作家独特の感性……なんていうと、いかにも単純化しすぎで怒られそうな気もするが、このあまりに混沌としてしかし艶っぽい感じは男性作家の書くものでは見ない気がする。
めくるめくヘンテコリンのスパークにぶっ飛ぶ
★★★★★
こんな不思議でヘンな小説は今まで読んだことがなかった。目ウロコ的未知の読書が続くので話の展開もまるで読めない。「こういう内容だよ」と説明するのもかなり難しいのではないだろうか。次の1行がどこに向かって飛んでいくのかすらもわからない。あまりにも風変わりなものを目の当たりにすると、呆気に取られることも忘れてプッと吹き出してしまうものなのだ。「ヘン」の連鎖と波状攻撃はひたすら混乱を深め、めったやたらと面白い。極上のシュールな要素を脇に置いて、本書を見渡してみても、シニカルな視線のくすぐり、我知らずツボに来るユーモアのセンスがキラリと輝く。全9篇の短篇集なのだが、次はどんな話なんだろうかと胸躍らされる体験はずいぶん久しぶりだ。「本の雑誌」の2007度ベスト10のおかげで本書を知った。今急いで、ケリー・リンクの第一短篇集を注文したところだ。感服。脱帽。