ヌラヌラと煌く物語
★★★★★
恋愛についてのアンソロジー本。それはどれも初恋の初々しさではなくて、エロティックで粘質系のトロトロとした恋愛が描かれている。最初に二篇収録されている吉行淳之介の「謎」と、河野多恵子の「朱検」淫靡な世界は独特だ。『ただならぬ午睡』はこの二篇でアンソロジー本としての、奥に煌くヌラヌラとした恋愛短篇小説の羅針盤として君臨する。
また短篇ということで、味は言葉から濡れて出るものを吸収する。
すべては江國香織が選出したアンソロジー本として成功している。
本のタイトルそのままの世界!
★★★★☆
この本には、江國さんご自身の作品を含めた8篇の短篇が収録されています。
すべて男と女の話ですが、ただの恋愛小説ではないところがミソです(笑)。
個人的には江國さんの『十日間の死』と村上龍さんの『シャトー・マルゴー』が好きですが、どれもこれも独特な世界観を放つ粒ぞろいです!
小説の好き嫌いは人によって様々だと思いますが、江國さんによってセレクトされた物語は、どれも不思議な魅力を持ったものばかりです。
読んでいる最中はもちろん、読み終わった後も何だか別世界にいるような感覚がしました。
『ただならぬ午睡』という何とも魅惑的なタイトルがつけられていますが、まさに言い得て妙といった感じです!!
江國さんのセンスの良さが表れていると思います。
本当にただならぬ本
★★★★☆
この本の魅力は若い頃ではわからなかったと思う。
濃密な人間関係に飲み込まれてしまった。
心の中を深く掘り下げる能力がある人が作家になれるのだと思った。
編者の江国香織さんの感性がよくわかる。たくさんの本を読破してこその選び抜かれた八編だろう。
どの作品も本当に「くらくら」して現実世界に戻れなくってしまうようだ。
読む時は覚悟して読みましょう。
ただならぬ恋愛小説
★★★★☆
恋愛小説という言葉に騙されてはいけません。どれもこれも一筋縄では読めません。何だか、上質なホラー小説を読んでいるようなひんやりとした冷たさに襲われました。登場する男性よりも、女性の方が怖い。
書かれた年代も様々なのに、古さは全く感じられません。全体が午睡から覚めた白昼夢のような、妖しい気だるさが漂っています。覚悟して読むことをお勧めします。
う~ん、いい味。
★★★★★
う~ん、なんていい味なんだろう。
これも、読み進めたくなくなるくらい美的
エッセンスの詰まった作品群。
江国さんのセンスの良さは、知っているが
この人のセンスは、最上級のチョコレート
(例えば、ゴディバの様な)だ。
読みたい様な、読むのが惜しい様な。
唯川恵さん選の本と合わせて、絶対、持っ
ていて損はない一冊。