日経新聞などでの評判どおりの良書
★★★★★
ついに出た、イスラム金融の決定版ともいうべき本。いつかの日経新聞で、慶應の金融論の権威である池尾教授が絶賛していたのも頷ける内容だ。
アカデミックな部分を書いている大学教授と、実務面をコンパクトにまとめている銀行員により、怪しい(わかりにくい)部分もあるこの分野についてうまくまとめられている。イスラム金融には画一的でないところも多いせいか、二人の著者間でも見解の一致・統一がみられていない部分は初学者に混同を与えるかもしれない。しかし、他のイスラム金融の本をみても、著者それぞれ言っていることが違う。著者の質の違いもあるのだろうが、玉石混交、十人十色、多様性があるのも今のイスラム金融の実態の一側面かと思うと、本書で2人の著者同士がそれぞれの主張を出しているのも、現状をうまく表しているということだろう。その分だけ、読書家にとってはよみごたえがある本だ。
それだけに、他の書評でよく語られるように、索引がないところが痛い。「超整理法」の野口教授のように、そういうところを徹底してもらえると、こういう本の評価はもっと高まるのではないだろうか。
でも、いい本であることには間違いないので、自信を持って5点をつけさせてもらう。