取り残されたマヤがどれほど傷つき苦悩したかは,文中から胸が痛くなるほど感じ取れる。切ない。
そのマヤがいつしか別の男,柿村に惹かれ,柿村の腕に抱かれながらも頭の中では野呂のことを考えてしまう。切ない。
やがて,いつしかマヤも野呂を想う気持ちに整理を付け,新たな一歩を踏み出すことになるけど,それは柿村のおかげなのか。流れた時間がそうさせたのであって,柿村はそのきっかけを作っただけなのでは。。
「恋の傷は治すのではなく,傷があったことを忘れるぐらいに埋めてしまうものだ」という柿村の強い気持ちが,弱り切ったマヤの心に響いたのは事実だろう。
傷ついた女性がやがて立ち直り歩き出すまでの物語なのに,傷ついたとはいえ,野呂のことを思いながらも別の男に抱かれ,別の男の肌を欲する気持ちは,読んでいて切なかった。
誰と寝なくても,やがて時間が忘れさせてくれたのに。と思ってしまうのは,男の身勝手と非難されるのは十分分かっている。。。。