高級グラスで飲むと、安いワインでも美味しい。どうしてなのか、不思議に思ったことは? カラフルなiMacが発売されたときに、Mac人気が沸騰したのはなぜ? 感情と認識に関する最新研究により、魅力的な品々は実際に使用効果を高めることが明らかになった。ドナルド・A・ノーマンの名著『The Design of Everyday Things』のファンには、見逃せない新事実だ。
近年のデザイン界は、製品をより使いやすくすることを重視していた。だが、魅力的かつ重要な本書でノーマンが十二分に解説しているように、身近な品々を使うにあたって感情が果たす役割を、デザインの専門家たちはこれまで大いに過小評価してきたのだ。
『Emotional Design』では、この単純なようにも思える考え方が分析されている。グッチのバッグやロレックスの時計に喜んで何千ドルも出すのはなぜ? 未来の日用品に感情が及ぼす影響とは? 将来、無生物は人間の感情に反応するようになる? 感情を持つロボットをつくることは可能か?
豊富な実例や最新の科学的研究を活用しながら、ノーマンはこうした刺激的な疑問に立ち向かう。我々の日常生活に存在する「モノ」を大胆に解き明かす1冊だ。
前作は読んでいませんが、一連の流れになっているので前作も合わせて読んでみるといいかもしれません。
非常に興味深い一冊でした。
前作では、「とにかく使いやすいものが全て」というような主張だったのが、さらに論考を深め、デザインのユーザーとの関わり方を、直感的な美しさの要素、行動的な使いやすさの要素、さらにそれぞれのユーザーとの関わりの中で生まれる思考的な要素の3要素に分類し、
それらを具体例を通じて明快に論じていきます。
終盤のロボットの話は"emotional"の書名とは合致しているものの、それまでの議論とは少し話が違っている気がしますが、内容的には興味深いです。
全体として、人間の感情をも含めた考察は、より幅の広いデザイン論へと進化していると思います。