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回想のブライズヘッド〈上〉 (岩波文庫)

価格: ¥819
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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ちょっと期待はずれ ★★☆☆☆
他の人の書評を読んで期待したのですが、ちょっと期待はずれでした。消え去っていく英国の貴族社会へのノスタルジーといった感じですが、多彩な登場人物の中にカズオ・イシグロの「日の名残り」のような情感は得られませんでした。特に、会話部分の翻訳で表現に統一に欠けたところ、−丁寧語の表現が、あるところでぞんざいな表現になっていたり−がみられたのは、読んでいて気になりました。
小野寺氏訳と吉田氏訳、どちらがお好き? ★★★★☆
第二次世界大戦下、英軍将校である主人公が偶然、かつての友人の屋敷があるブライズヘッドの陣地に着任した事から、オックスフォード大での青春時代が語られ始める。
全編を通じ、キリスト教の話題が出てくるため、ヘンリー八世の離婚騒動以降、プロテスタント(英国教会)が主流となった英国に於けるマイノリティーとしてのカトリック信者の位置付けを頭に入れておくと読みやすいだろう。

作者、イーヴリン・ウォー(Evelyn Waugh: 1903-1966)は、英国の小説家。
本人は否定しているものの、オックスフォードのハートフォード・カレッジを中退、従軍経験、カトリックへの改宗の経緯等、その経歴は、本作の語り手、C.ライダーと通じる部分がある。
上流社会に対する風刺の効いた作風で知られ、他に「一握の砂」、「黒いいたずら」なども邦訳されている。

原題の直訳は、「Brideshead Revisited(ブライズヘッド再訪)」だが、他の方もレビューに書かれているように、小説の翻訳や映像化の際、何故かそのまま訳されず、様々な邦題となる事が多い。
1981年、英・グラナダTVでドラマ化され、NHKが放映した際には、「華麗なる貴族」(この時の出演者は、J.アイアンズ、L.オリヴィエ、J.ギールグッド等。)となり、VHS化されている。
また、原書に挑戦したい方には、J.アイアンズによる朗読CDもある。
原作に比べるとストーリーは相当脚色されているものの、2008年再映像化され、「情愛と友情」の題でDVDも入手可能。(出演者:E.トンプソン、M.ガンボン等。)

本書・小野寺氏訳に先行し、元・首相、吉田茂の子息、吉田健一氏訳「ブライヅヘッドふたたび」の邦題でも名訳(筑摩書房)がある。
吉田氏の訳は、漢字も多用され、一文も長いが、特徴のある文体が美しく、全体的にクラシックで格調高い印象。
小野寺版は、現代風で読みやすい一方、多少味わいに欠ける点もあり、どちらを選ぶかは好き嫌いが分かれるところ。
他、本書には、後年原作者ウォーが書き足した「序文」が添えられている点も、吉田版との差異。
Brideshead Revisited ★★★☆☆
本書の訳者小野寺健氏は、『青春のブライズヘッド』というタイトルで1977年に講談社より出していた。本書はそれを改訳し、タイトルも『回想のブライズヘッド』に変えて出版したもの。1945年に吉田健一氏が『ブライヅヘッドふたたび』 というタイトルで訳していて、タイトルはそっちのほうがヨサゲな気がするんだけど、小野寺氏的には気にいらないのか、最初は「青春」、ついで「回想」とあくまで独自なタイトル(けど、イマイチしっくりこないんだろうな)を押そうとしているのね。別にタイトル踏襲してもいいように思うんですけどね。
三十年前に初めて出たとき、八木谷涼子さん(T.E.ロレンス関連では日本で一番信頼できる方)が協力されていたそうな。