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回想のブライズヘッド〈下〉 (岩波文庫)

価格: ¥798
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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この名作を多くの人に読んでもらいたい ★★★★★
イギリスの大作家、イヴリン・ウォーの数ある小説のなかでも、最も愛されている作品。
1981年にはイギリス演劇界の粋を集めた豪華キャストでTVシリーズ化され、
(主人公にジェレミー・アイアンズ、そしてオリヴィエ、ギルグッド、クレア・ブルームなどが出演)
その素晴らしさ・完成度の高さは25年たった今でも語り草になっているほどだ。

本作の主要なテーマはカトリック貴族(フライト家)の没落だが、
これを通じてウォーが描きたかったのは、つまるところ
人間精神の尊厳、高貴さや真の愛を
現代文明の特徴である功利主義や物質主義が破壊していく過程ではなかったか。
そう考えると、この小説は少しも古くなっていないどころか、
むしろ今の時代こそ読まれるべきだと思う。

小野寺健氏の新訳は、吉田氏の訳に慣れた私には物足りない部分も
あったが、こなれた訳であることに変わりはなく、
若い人たちにはむしろ親しみやすいかもしれない。
この作品を愛してやまない小野寺氏は実に素晴らしいあとがきを
上巻に書かれているので、そちらも必読。

それにしてもウォーの作品はイギリスでの人気に比べ、
邦訳が少なすぎる。”Scoop"や”The Loved One"などを
優れた訳で読みたいと思うのは私だけだろうか。 

Brideshead Revisited ★★★☆☆
ブライズヘッド邸とその一族の人生の崩壊を、華麗な文化への甘美なノスタルジアたっぷりに描いた悲劇。上巻はセバスチアンが、下巻ではジューリアが主に主人公のチャールズ・ライダーと専らからむ。
こういう「崩壊」を描いた小説って、若干文章の感じがフィッツジェラルドを思い出させてくれて、結構スキなんだけど、うーん、登場人物がこだわってるカトリックの信仰ってのが極東のバルバロイたる自分にはいまいちピンと来ないんだよね。普遍的に信仰や神についてではなく、あくまで「カトリックの信仰」「カトリックの神」について語ってるんだよな。カトリックに改宗した作家ということではユイスマンスなんかとも全然違うし。そこらへんがいまいちのれなかった原因。