田中一村 を知りたいなら !
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奄美の自然を描く日本画家・田中一村の作品と生涯を年代順に追い、
当時の社会や美術界の動向とともに解説してあります。
子供時代の水墨画5点、南画家時代13点、日本画への模索期11点。
そして戦後、青龍社展初入選から奄美へ渡る前24点。
ここでは、襖絵や天井画も紹介されています。
奄美へ渡った前期12点、終の棲家とした後期21点。
見開きB4ではもとの絵の迫力は出せませんが、一目で眺められることによって、
独特の構図や遠近感、縮小されても遜色ない精緻な絵と
色の多少によらない華やかな一村の絵が楽しめると思います。
そして一村の絵の南国特有の動植物の簡単な解説や
画法や出来事などがコラムで多く紹介されています。
年代順に作品を見ることによって、
一村の奄美での絵がすべての集大成なのだと理解できます。
またこのシリーズはレイアウトや背景処理がすばらしく、
この田中一村も例にもれず、凛とした美しい仕上がりになっています。
田中一村に興味のある方には一度目を通して頂きたい一冊です。