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東京ダモイ (講談社文庫)

価格: ¥730
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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作者は上手く纏め上げている ★★★☆☆
現代に発生した殺人事件の原因を、過去の出来事に求める、
やや古いタイプの作品である。文章がこなれていないのと、展
開にメリハリがないので、最初は読み進めるのに多少の努力
を要した。

ミステリーとしてみると、60年前の事件が殺人まで犯す動機と
なり得るのか、疑問である。日本国内ではなく、シベリア抑留中
の出来事であり、証拠も何も無いのに、殺人まで犯すだろうか。
トリックも、発想は良いが、いささか無理があるような気がする。

作品後半の、元シベリア抑留兵が書いた手記と俳句から、現代
の殺人事件の謎解きをする展開は面白い。手記の中で語られる
悲惨な抑留生活や、現代に生きる人々が手記と俳句から殺人
事件を推理する姿は、この作品の読み所である。

ただ、謎解きをするのが、警察と編集者の二手に分かれてしまい
中途半端な印象を受けた。どちらかに重点を絞った方が良かった
のではないか。また、会話が妙に回りくどかったり、判りにくかっ
たりするのが気になった。

ミステリーとしては構成やトリックなど凡庸と言えるかも知れない。
素材は違えども、似たような内容の作品を、何度か読んだ気もする。
しかし、シベリア抑留生活や俳句等の素材を、作者は上手く乱歩
賞の規定枚数に纏め上げている。乱歩賞受賞作として、一定の
水準に達している事は間違いないと思う。
シベリア抑留を知らない世代へ ★★★★★
短い中にも元抑留兵の自費出版書を通じて、シベリア抑留の問題と、犯人を読み手に探させる手法が生かされている。さらに今時の人間達に犯人を追わせながら、俳句を読み解く楽しみまでも手解きしてくれ、素人が読めば俳句の素晴らしさにも触れられるだろう。
激情的に描かれた「不毛地帯」とは全く異なる抑留本だが、今時の人間が抑留についてあらためて考えるには、本書の方が馴染み易い。
いかにも乱歩賞らしい作品 ★★★☆☆
’06年、「第52回江戸川乱歩賞」受賞作2作品の内の1作。

私は、現行の乱歩賞受賞のポイントは2つあると思っている。
ひとつは、過去に扱われたことのない新しいテーマをメインモチーフとすること。
もうひとつは、昨今の大作全盛の時代に、原稿用紙350枚〜550枚という制限枚数の内でいかに事件を起こし、物語を展開させ、盛り上げ、まとめるか、である。

その点、本書はこの難しい両方のポイントを上手にクリアーした、いかにも乱歩賞らしい作品に仕上がっている。

テーマは、過去の、シベリアの捕虜収容所と、現代の、俳句集の自費出版を扱っている。殺人事件もシベリア収容所当時の昭和22年と、現代(平成17年)に起こっている。

また、過酷な強制抑留生活の生々しいありさまと、過去と現代の殺人事件を解明する鍵を、シベリア当時二等兵だった高津老人が、自費出版を希望する“手記を伴った俳句集”の中で述べる、という形にうまくまとめ、制限枚数の内で消化している。

ただ乱歩賞を意識するあまり、ストーリーの深刻さとか広がりを犠牲にしている感は否めない。高津老人の俳句が殺人事件を解明するヒントになっているというところも地味で、かつ難解である。

加えて、主人公が、自費出版の会社の若い編集者とやり手の女性上司なのか、現代の事件を捜査する刑事(たち)なのか、あいまいである。どちらかをはっきり中心に据えた方が良かったと思う。

枚数制限さえなければ、本来作者は、もっとセンセーショナルな事件を取り上げたり、もっと捕虜収容所の悲惨な抑留生活について述べたりしたかったのではないかと思う。
謎解きは浅かったけど ★★★★★
話自体は骨太なものですね。
忘れられていく戦争、抑留者の体験をミステリーに織り込み、語り継ぐ手法はなかなかのものです。俳句を暗号のように使っているのも作者の知恵を感じました。
ただどんでん返しがなく、どうしてミステリーとしてはくいたらなさが残るかもしれません。
「乱歩賞」の制限枚数撤廃を! ★★★☆☆
本年度「第52回江戸川乱歩賞」受賞作。

私は、現行の乱歩賞受賞のポイントは2つあると思っている。
ひとつは、過去に扱われたことのない新しいテーマをメインモチーフとすること。
もうひとつは、昨今の大作全盛の時代に、原稿用紙350枚〜550枚という制限枚数の内でいかに事件を起こし、物語を展開させ、盛り上げ、まとめるか、である。

その点、本書はこの難しい両方のポイントを上手にクリアーした、いかにも乱歩賞らしい作品に仕上がっている。

テーマは、過去の、シベリアの捕虜収容所と、現代の、俳句集の自費出版を扱っている。殺人事件もシベリア収容所当時の昭和22年と、現代(平成17年)に起こっている。

また、過酷な強制抑留生活の生々しいありさまと、過去と現代の殺人事件を解明する鍵を、シベリア当時二等兵だった高津老人が、自費出版を希望する“手記を伴った俳句集”の中で述べる、という形にうまくまとめ、制限枚数の内で消化している。

ただ乱歩賞を意識するあまり、ストーリーの深刻さとか広がりを犠牲にしている感は否めない。高津老人の俳句が殺人事件を解明するヒントになっているというところも地味で、かつ難解である。

加えて、主人公が、自費出版の会社の若い編集者とやり手の女性上司なのか、現代の事件を捜査する刑事(たち)なのか、あいまいである。どちらかをはっきり中心に据えた方が良かったと思う。

枚数制限さえなければ、本来作者は、もっとセンセーショナルな事件を取り上げたり、もっと捕虜収容所の悲惨な抑留生活について述べたりしたかったのではないかと思う。