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鎧櫃の血 新装版 (光文社文庫)

価格: ¥650
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
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三浦老人の話 ★★★★☆
 1988年に出たものの新装版。字が大きくなっている。
 『三浦老人昔話』(大正14年)12篇と、「鼠」「魚妖」「夢のお七」「鯉」「牛」「虎」を合わせ、計18篇が収められている。
 『三浦老人昔話』は『半七捕物帳』の姉妹編ともされるもので、やはり、若い著者が知り合いの老人から江戸時代の思い出話を聞くという形式を取っている。内容は捕物帳ではなく、不思議な話、嫌な事件など。人間関係のちょっとした行き違いで不幸になってしまうというストーリーが目に付く。武家社会の理不尽さ、武士と町民の対立などが描かれている。 
 そのほかの6篇は、動物にまつわる怪異譚。説明の付かない不気味さが嫌だ。
 からりとした文体で、人間関係のもつれを描き、投げ出したように物語を終える。一種、独特の芸としかいいようがない。
「半七」の姉妹編 ★★★★☆
この「鎧櫃の血」は、同じ「私」が三浦老人という人物に同じように話を聞く形式だ。一話目の冒頭では半七老人が登場し、彼から三浦老人を紹介される。
この本の三分の二ほどは、三浦老人の語りで、残りは別のシリーズである。
どちらも不可思議な話という点では共通しているが、前者が「世の中そういうこともあるかもしれない」に対し、後者は若干おどろおどろしい物語になっている。ただどちらも、起承転結の内、転をすっ飛ばしている節がないでもない。
だからといって、駄作だというのではない。すとん、と結論まで一足飛びになってしまうので、「半七」を半ば期待したり、怖い話を期待していると拍子抜けしてしまうというだけだ。
現実世界なら、「裏もなく、ただこんな不思議なこともありましたよ」ですませてしまう、そんな不思議な話の集まりである。
作者はかなり古い人だが、京極夏彦よりは読みやすいので、ぜひ一度。「半七」も!
岡本綺堂の妖しの世界が楽しめます ★★★★☆
時代が江戸から明治に変わったばかりのころ、岡っ引きあがりの老人 半七から聞き取った話を『半七捕物帳』として発表した作者が、もっと話を聞こうと半七のもとを訪ねた折り、そこに居合わせた三浦という老人を紹介される。この三浦老人もまた、いろいろと不思議な話を知っていたので、彼の住まう大久保にせっせと足を運び聞いた話を紹介する、といった設定で語られる「三浦老人昔話」12編と、動物にまつわる怪異譚6編を納めた短編集。
平易で簡潔な文章で書かれた怪談、因縁話、ちょっと不思議な話などなど、分量はどれもほんの数ページなのですが、そこから立ち上ってくる江戸情緒というか江戸の匂いというか雰囲気というかはもう絶品。もちろん本当に江戸の匂いや雰囲気などわかるはずもないのですが、それをわかったように思わせてしまう語り口のうまさと文章の力の凄さ。また、一編一編が短いだけに、余計にその物語の舞台となっている場所が鮮やかに脳裏に浮かんできて、岡本綺堂の妖しの世界へと誘ってくれます。
『半七捕物帳』が好きだという方はぜひ読んでみてください。きっと気に入ることと思います。