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鷲 新装版 (光文社文庫)

価格: ¥580
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
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味のある恐怖 ★★★★☆
1990年に光文社文庫として出たものの新装版。文字が大きくなっている。
 岡本綺堂の怪談を集めたもので、「鷲」「兜」「鰻に呪われた男」「怪獣」「深見夫人の死」「雪女」「マレー俳優の死」「麻畑の一夜」「経帷子の秘密」「くろん坊」の10篇が収められている。
 綺堂らしく味わい深い怪談だ。幽霊とか怪物とかの生々しい恐怖ではなく、微妙な筆調と雰囲気で読ませる物語であった。大人の怪談とでもいうべきか。
 印象に残ったのは「くろん坊」。飛騨山中の怪異を語ったものだが、なんともいえない恐さがある。「兜」も嫌な話だ。
 日本の昔話やコナン・ドイルなど、東西の物語を利用したものが目に付いた。綺堂の創作の過程も見えてくるような一冊であった。
 ただ、綺堂の怪談集としては、光文社文庫の他の選集とくらべて、少し落ちるかも知れない。