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易の話 (講談社学術文庫)

価格: ¥1,103
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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易の基本や思想史上の位置が著者自身の深い洞察に基づき解説される入門書 ★★★★★
易経の理解には、いくつかの決まりや用語(卦、陰、陽など)をまず学習することが不可欠ですが、本書ではそれらが丁寧に解説されています。また易は卦辞、十翼などのいくつかの書からなりますが、それぞれの成立年代や思想的背景は異なることなどが述べられます。孔子の作と伝説上はされているものが、老子らの思想がどのように易にとりいれられたかなどが解説され、易を読むときに、易の各書がどのような思想的背景で書かれたのかがわかります。その他に実際に占いとして使うために、コインでも占える簡易法なども含めた方法が紹介されます。本書でもっともすぐれている点は易の思想の重要性とそれをどのように実生活に応用するかのヒントが書かれている点です。荀子の“よく易をおさむる者は占わず”という言葉を引用して、易の十分な学習があれば占わなくても、直面する問題と立場について熟考し、合理的に疑問を解決する道がひらかれると述べられます(易にはそれぞれの問題に対して時節に応じた教訓や指針が書かれている)。易の思想の一つとして、対待(二つの反対のものが、互いに引き合う関係、相手があることによって自己がある相互の依存)の思想が紹介され、“この世界の現象を一面的にみないで、必ず対立した両面からみようとする態度、ものごとには必ず両面がある”と説かれます。著者は更に一歩すすめて、”絶対的な矛盾的対立というものは、抽象された論理的世界でこそ存在するもので、現実世界では、世界の対立はまさに対待としてみるよりほかはない“と述べます。また、著者は”易はゆきづまれば変化し、変化すれば通じ、通じたなら久しい“という易のことばについて、”ものごとはすべて、極点までいけば必ず新しい変化が起こり、道がひらけ運動が止まらず、永遠に続いていく”という‘変易’の思想でまず解説し、“変化が循環であるとすることは、変化する現象をとおして、変化しない一定の法則をみつめることである”と‘不易’の思想で結んでいます。最後に著者は”運命感と宿命感は違う“と述べ、占いの結果を決まったもの宿命として屈服するのではなく、人間的な努力を重ねて真剣勝負の人生をおくるところに運命が生き、安心の境地が得られる、”運命は自分で切り開くものである”と読者にメッセージを送ります。易経の内容のすべてをこの本で知ることはできませんが、本書には易経を理解する著者が易経を超えたともいってよい高い視点から提言を述べている本ということができます。
良い本ですよ! ★★★★★
 かなり、レベルが高いです。
 つまり、古典的素養のない人は最後まで読めないんじゃないの?
 タイトルどおり、易を切り口にした中国文化の解説ですね。
 学術的なことをやさしく説明してありますよ!
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 最初、安岡の本を読んだんですけど。
 おれの評価では、こっちの方が上です!
 好みはあるでしょうけどね。
 不思議なことは書いてありません。
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 まあ、難を言えば。
 少し、毛沢東に敬意を持ってるフシがある。
 思想の傾向は、誰にもありますよ!
 気にならない程度です。
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 いんしつろく、という本があるんですけど。
 安岡の本しか売ってない。
 この著者に書いて欲しいもんです!
 無理でしょうね・・・・・
学術的に信頼するに足る、唯一の『易経』概説書 ★★★★★
本書は占いのノウハウについて語られた本でも、占星術や風水といったもののカタログでもありません。今日、世の中で出まわっている易学や占卜の理論は、たとえば道教や天文学など、後世の様々な思想や宗教・科学などがブレンドされたものが大半です。中には出自の確かでない、いい加減なものや、理論的な部分が完全なブラックボックスになっているものも数多あります。本書はそれらのノイズを取り払って、その源流に位置する『周易』(『易経』)本来の思想や理論的なしくみ、学問としての歴史について解説した入門書です。

実は、この『周易』という紀元前の古典や、経学としての易学に関する良い邦人の概説書が、本書が出るまで皆無でした。訳本(本田済氏、高田眞治・後藤基巳両氏、宇野精一氏、赤塚忠氏ほか)はそれまでにも何冊も出ていましたし、もちろん、その中にも概略をまとめた解説はありました。ところが、いずれも学説が古くなってしまっていたり、解説に不備があったり、その他、誤りや偏りなどもあって、安心して読めるものがありませんでした。その意味で本書は、現時点で唯一 信頼性の観点から初学者に安心してすすめられる『周易』の入門書といえます。本書が文庫版として刊行され、研究者や学生以外の人でも安価で手軽に読めるのはありがたい話です。(専門書だと、どんなに安くとも、3,000円は下りませんから。)

読者層として、特におすすめしたいのは、学生や大学院生、儒教の経学・原初的な易学・中国科学史・紀元前中国の政治史(特に『春秋左氏伝』や『漢書』)に関心のある漢籍・中国史ファンの方々です。
まあ中庸です ★★☆☆☆
 危なげのない作品です。
 金谷先生の作品はいずれも危なげのない著書が多いのですが、この著書もそうです。きつい言い方をすれば、刺激がないです。歯ごたえがないです。退屈です。
 ただし学問的には一流ですし、何気なく重要な深い話も出てきます。
 易学の神秘的な部分、野心的な部分に興味がある人には、正直向いていません。占いとしての易学に、興味を抱いている人にもオススメしません。ましてや初心者にはもちろん薦められません。
 逆に研究者として易学に興味がある人や、占いとして散々易学を研究した人はもちろん購入必読の著書であります。
学術書としての入門書という色が濃いと思います。 ★★★★★
「易」というと日本人は専ら、筮竹を以て占いを行う易者さんの姿、つまるところ「占」に強化されたイメージを想起するだろうと思います。
それは勿論その通り、というか、間違いではないでしょうが、しかしてそれだけでもなく、
「易」には「占」という以外に「哲学の書」という一面、もっと言えば中国文化の領域に於ける重要な学術的研究対象としての一面を有しています。

これらの両側面は、どちらも「易」を中心に添えてはいても、そのアプローチの仕方にかなりの差異が見られ、
少なくとも、両側面にそれぞれ携わる人々は、お互いがお互いの領域について門外漢であり、全くの別領域であることは了承しておかなければならないと思います。

そこで本書ですが、この本の作者である金谷治氏は、中国思想の分野でかなり有名な先生です。
本書は「占」という、易の本質の部分を見過ごすことなく総括的に書かれている点で、
いわゆる『易経』を学術的に学ぼうとする人が手に取るのには、優秀な入門書だと私は確信しますが、
ただ、やはり「哲学」「中国文化」的な側面は強く、「占」の方面におけるアプローチを学ぼうとされる方が読むには、
それは入門書としては適切ではないかもしれません。

しかし先述の通り、『易経』というテクスト全体を俯瞰的に見るためには、非常に良書であると思うので、
学術書の入門書として、或いは「占」としての易を経られた後、純粋な知の探究として一読されるのが良いんじゃないかと思います。