よくぞ15年も前の本を復刊してくれた!
★★★★☆
歴史は常に勝者によって語り継がれ、弱者の視点からの歴史が後世に伝わる事はマレだが、それを強者の資料からも発掘し、国際情勢とも照らし合わせ、我々の“常識”に突きつける本だ。
日本の北海道・沖縄を含むアジアへの拡大主義、天皇の罪を棚上げにしてしまった死去を中心とした一連の報道、アジアに公害を輸出しながらも一方では国際貢献を旗印に米の忠犬となるべく平和憲法を安楽死させ、PKO法を新設・・・・・・・原稿初出から既に15年を経て、この間日本はどう変化したのか?
戦後処理は加害否定の声が高まるばかりで棚上げ、米追随はより顕著になり、日本軍と化した自衛隊は世界中どこにでも派兵されるようになり、憲法すらも改定されようとしている。
本書が、近代より拡大路線に入った日本史を見直すことで、原点に立ち返り、今の方向性が正しいかを考える機会になればと思う。
文庫であるが新書のように平易に書かれず、理解に読み直しを必要とする箇所もあったので、☆1ヶ減点した。