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殺しの双曲線 (講談社文庫 に 1-4)

価格: ¥650
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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やっぱりスゴイ!! 日本ミステリの古典の一つ ★★★★★
西村京太郎氏も赤川次郎氏も、デビュー当初は本格派ミステリ作家として評価されていました。
その後、時が経つに連れて『売れる作品』を量産していくのですが…

本書は、その『本格派』としての西村氏の力量が余す所なく発揮されています。

日本ミステリ史として、社会派後の、まだ新本格派の作家が登場してくる遥か以前に著されており、『ミステリ評論』のターゲットからは漏れていると思いますが、現在となっては、正しく『日本ミステリの古典の一つ』として扱って良いと思います。

PCゲーム『ひぐらしのなく頃に』『うみねこのなく頃に』をプレイされている方には、『火刑法廷』と並んで、是非お勧めいたします。
技あり一本 ★★★★☆
「そして誰もいなくなった」を意識して書いた大意欲作です。
普通に「そして誰も〜」をただなぞるだけでは、「”作者の挑戦”としてとらえてみてどう思うか?」、「読者が読み進めていて面白いか?」、という二つの疑問の両方に「つまらない」としか言えません。しかしこの作品はそこをちゃんと理解して書かれているのがスゴい。

まず最初に作者の言葉として「この作品のメイントリックには双生児が関わります」ということをはっきり明示。これで否が応にも読者は”双子”に注目せざるをえません。

次にAパートとして、双子の起こす一風変わった強盗事件の話が、Bパートとして、豪雪地帯の旅館に招待された人々の間に巻き起こる連続殺人事件の話が、A、B、A、Bというように、交互に語られます。
これによって、「AとB、二つの事件はどこで交わるのか?」という小説的な興味をそそる効果を挙げる一方、二つの事件をテンポよく交互に語ることで、だらだらとした展開になることを抑える効果も挙げています。
閉鎖環境下での連続殺人事件、などというのは今までにも相当な作品数が書かれてきましたからどうしても退屈になりがちだと思いますが、それを強盗事件のパートを挟むことで読者の興味をうまく繋げているのですから流石です。

オチもかなり意外だったので、読んでいて非常に楽しめました。
「西村京太郎=中高年齢層のサラリーマン相手に荒稼ぎしているマンネリ作家」という認識で、読まず嫌いをしていた自分が恥ずかしいぐらいです。
堅い核で形成された ★★★★☆
本書は大胆にも、本編が始まる前に作者自らがメイントリックは双生児で形成されていると記
している何ともフェアで何ともストレートな作品です。双生児が巻き起こす銀行強盗と雪山で
起きる連続殺人事件が平行して進む中、当たり前にそれがどう絡み合うのかと考える内、全然
絡み合わないことに慄いたりするけど、でも核は双生児と宣言されちゃってるもんだから必死
に考えるんですよね(笑)。それにしても巧い、実際読後にこれほど欺かれた感がある作品は
そうそうないです。クリスティの『そして誰もいなくなった』に対する親愛の情もいい。

西村京太郎らしさとか、西村京太郎じゃなきゃできない魅力と云うならば他に該当する作品は
沢山ありますが、あくまで普遍的な本格物に挑戦しても、やはり他とは一線を画するほど別の
次元へ到達してしまう稀有な才能をまざまざと感じれる一冊ですね。
西村京太郎氏の最高傑作の1つ!! ★★★★★
他のレビューにもある通り、本書はトラベルミステリーではありません。最近の十津川警部シリーズを読み慣れた方からすると、「本書は、
良くも悪くも西村京太郎らしくないミステリー」といえるのではないでしょうか? 全体的にトーンが暗く、ミステリアスな写実の奥に、事件
の奥底に眠る闇を感じてしまうからです。

一方で、上記のような内容であるが故に、殺人事件の背後にある人間の罪深さを垣間見ることになります。「双子」を使ったトリックの巧妙さ
もさることながら、一歩間違えば、善良な市民が加害者になり、被害者と呼ばれる人が罪を犯してしまう現実の儚さを実感させられる、人間
の心の奥底に迫るミステリー小説だと思います。
ケレンの勝利 ★★★★☆
 西村京太郎がトラベル物を書き始める前の頃の作品。
巻頭で双子を利用したトリックを使っている、と宣言しているのがミソでこれがミスディレクションになっている。トリックそのものは驚天動地といった類のものではないが、巧みという印象。マンネリの代名詞のようなトラベル物のせいであまり評価は高くないが、この作家にはまだまだ埋もれた傑作がありそう。