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狂人失格 (本人本)

価格: ¥1,470
カテゴリ: 単行本
ブランド: 太田出版
Amazon.co.jpで確認
深読みすべき本。 ★★★★★
5年ほど前にこの本が出ていたとしたら、人権問題も絡んでかなり議論を呼ぶ本になったかもしれない。
しかし、時代の流れは実に早く、こういう「変わった人」を扱った「ノンフィクション系」の本はすでに現実から取り残されている感すらある。
それほどまでに、新聞やニュース毎日にぎわせている、陰惨な事件の当事者たちが、全く想像も出来ないくらいに大胆な事件を起こしているのが、まさに「この現実の世界」だ。
現在までに様々な、昔から使われてきた言葉が「差別用語」として言葉狩りにあい、ネットの掲示板やブログなどに誰かを殺めるコメントを書いた人物は、必ず摘発されてしまうほどネット上の言葉や内容の規制は厳しくなっている。

前置きが長くなり過ぎたが、この本で取り上げられている「優花ひらり」という小説家志望の人物は、有名難関大学を出ていて、自費出版で小説も出している。
そして驚くべきことに、今現在も自身のブログで本名を公開し、自宅住所も公開し、自分の写真すらも堂々と頻繁に公開しているのだ。
もちろん私はそのブログも見てみたのだが、大変な数のコメントが寄せられていて、当然ながら当人を揶揄するようなコメントが多いのだが、優花ひらりは全く意に介さず、コメントも削除されない状況だ。

当人はそういう状態であるから、辛辣なコメントもなんだか勢いを失ってきてしまい、ブログを見ている方は気が抜けてしまう。
「優花ひらり」は現在も完全に自分の中の世界で平和に暮らしているようだ。

著者の中村うさぎは、作家というよりも体験リポーターのような感じになってしまい、多くの読者からも「不思議な人・変な人」という位置づけが定着していると思うが、その「変な人・中村うさぎ」が「優花ひらり」を「変な人」として終始扱っているのは、何とも「ブラック」な感じがして、笑うに笑えないほど「様々な問題構造」が浮き上がってくる。

150頁程の薄い本であるが、この本が提起する問題は実に複雑なものだ。

あなたの家族はどうだろう? ななたの知り合いはどうだろう? あなた自身はどうだろう?

いったい「正常」という状態はどういう状態なのだろうか・・・。
コメントしずらいなぁ(困惑) ★★★☆☆
自他共に認める、“うさぎフリーク”の私。でも、この本は手放しではオススメ出来ない。 理由は他の人も書いてるように、モデル問題である。 話としては、確かに面白い。ネット上で「作家になりたい!」と叫び続け、手ひどく突っ込まれているのに、超ポジティブな優花ひらり。彼女にコンタクトを取って、「共著を出しませんか?」と提案する。しかし彼女はとんでもない怪物で……。 しかも。全部ホントに起きた話なのだから恐ろしい。だからこそ、優花ひらりには、ちゃんと掲載許可を取って貰いたかった(取ってるのかな?)。 …ただ。普通の人なら、「訳わかんねー」の一言で片付けるであろう優花ひらりの内面を、最後にかなり的確に?、プロファイリングしてる所は流石だと思う。 最後に。この優花ひらりさん、誰かが精神科に連れてくべきではないか?親が死んだら、どうするんだろ……。
とにかくスゴいよ! ★★★★★
内容については他のレビュアーさんの書いたとおり。
学ぶことが多い重厚な本だと思う。
中村うさぎ氏については個々人の好みがあるので、さておき。

1.他者との客観性を排除して「自意識なきエデンの園」で生きている人が実在するという事実。
2.出会い系サイトなら本人の醜悪は度外視して、いとも簡単にセックスができるという事実。
3.日本文壇(含む取り巻き編集者)に連綿と続く、作家は賞取ってナンボじゃという風潮&身分制度。
……他にもあるが、特にこの3つは平穏な暮らしをしている人間にとってビックリだった。

特に1.は驚愕。KY傾向がことのほか強い日本でも、生きていけるのだと。
いわゆる「困ったちゃん」に分類される優花ひらりは、本当に強烈な人格だ。
彼女はネットの書き込みを励みにそれまで生きてきた。
ネットさえあれば、リアルな友人がいなくても人は障害もなく生きていけるということだ。

だが……あと30年40年して、優花ひらりは生きていくことができるのだろうか?
社会的適応能力を欠如させたままで。コミュニケーション力が欠如したままで。
20年後に『狂人失格その後』と、追跡本が出たら読みたいところだ(不可能だろうが)。

身体を張って自問自答し書き続ける著者を、深く敬愛している。
ここまで度胸があり、突き抜けた作家は他にいないのではないか。
日本文壇も早く気づけばイイのに……(無理だろうが)。
作家だったら何を書いてもいいのか? ★☆☆☆☆
 自分の妄想の世界に浸って、客観性のない小説家志望の女性。ホストの場合は中村うさぎも傷つきましたが、この本ではそれを感じる事ができませんでした。連載中から話題となったと書かれていましたが、今は、良い意味でも悪い意味でも、匿名で言いたいことが言えるネット社会というものが存在するのだから、この本を中村うさぎは書くべきではなかったと思います。

「連載中から話題となった」という事は、この小説家志望の女性を知らなかった人達を中村うさぎ自身が多くの人に宣伝してしまった、それゆえ、いくらこの女性の言動などが他人の目に奇妙にうつろうと、「こういう自分に理解できない人もいるんだな」と心の中で思うだけではすまない人は多いでしょう。また字が小さかったのも読みにくかったです。
筆者の姿は読者自身の映し身 ★★★★★
 他社との客観性を排除して「自意識なきエデンの園」に生きる優花ひらり。自意識にがんじがらめに縛られ、他者の目に自分がどんなに醜く映るかも承知でのたうちまわりながら生きている筆者。優花ひらりの存在を通して自分自身の姿を再確認する筆者の姿は、読者にとって映し身に他ならない。
 諧謔的な文章の行間から、逆に生きることについて真剣に向き合う筆者の志が強く浮かび上がってくる。傑作。