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誘拐症候群 (双葉文庫)

価格: ¥700
カテゴリ: 文庫
ブランド: 双葉社
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作者自身が基本設定を大事にしていない ★★★☆☆
 「症候群」シリーズ第2作。シリーズの中では、いちばんサスペンスも効いているし、全体としての完成度は高いかもしれないが、疑問に感じるところがいろいろあって、私としてはそう手放しで絶賛はしにくい作品。

 まず、警視庁の環敬吾が率いる「影の捜査チーム」から、事情があって一人(武藤)が脱落していること。チームの活躍を描くという、このシリーズの基本設定を、作者自身が大事にしていないのは問題だろう。
 武藤が脱落した事情である、彼が巻き込まれた誘拐事件自体は、スリルがあって引き込まれるのだが、本作で明かされる、あの程度の犯人が、捜査のプロの武藤を、あんなに振り回せるはずがないだろう。どう考えても黒幕がいる(その候補者も描かれている)と思われるのに、明確に描かないのはハッキリ言って不自然である。

 もう一つ、武藤抜きの環チームが追う、本筋の誘拐事件の犯人「ジーニアス」も、この作品のような手口であれば、別に違法な捜査をしなくても、証拠を集めることは可能だろう(普通にネットを使っていれば、警察の捜査に対して完全な匿名性はないはず)。そのあたり、消化不良の印象が残る。
キャラクター ★★★★★
キャラクターが魅力的だ。仮の姿と真の姿と言うべきか、いずれも真の姿と言うべきか、固定観念を打ち破った、キャラクターである。作者のきめ細かい誠実な描写は、安心して読み進めることができる。
スリリングな展開♪ ★★★★☆
周到な計画を立て誘拐を実行するジーニアス。だが、完全犯罪などと
いうのは、どんな犯罪にも絶対にありえない。ジーニアスの正体は
思わぬところから暴かれる。ひとつひとつの小さな手がかりから、
犯人にたどり着くその過程が、読んでいてとても面白かった。だが、
環のチームにいる托鉢僧の武藤が巻き込まれた誘拐事件は、読んで
いて胸が痛んだ。何の罪もない幼い子供たちが事件に巻き込まれる
ケースが、現実にも数多く起こっている。子供が安心して外で遊べる
ことができる日は、はたして来るのだろうか?
第1弾よりパワーアップ ★★★★★
『失踪症候群』に続く3部作の第2弾。基本的には謎と解決は本作で完結しているが、主要登場人物の説明や職業は最小限なので、続けて読むのがベストでしょう。

連続して起こる数百万の身代金の誘拐事件。そして“仕事人”たちのメンバーである托鉢僧・武藤を身代金受け渡し人に指定しての誘拐事件は、子供の殺害と身代金の焼却という最悪の結果に終わった。前者の事件には、自らの存在を隠して全てを操る<ジーニアス>の存在が…。

ネット時代の誘拐とはいかなるものか、徹底して考えられた計画が素晴らしい。
<ジーニアス>の描き方もなかなか巧いです。
<ジーニアス>を追いつめるために仕事人のボス・環がとった方法など、読後感は単純に爽快とは言い難いです。
とはいえ、最後には“仕事人”が勝つというのはお約束かもしれませんが、救いといえるでしょう。

本格ミステリのエッセンスと小説の面白さが結実したエンターテインメント・サスペンスとでも言えるでしょうか。

匿名性 ★★★★☆
『症候群』三部作の第二作目。一作目の『失踪症候群』と同様にエンターテインメント色が強いが、トリックなどと言ったものはそれほどなく「あぶない刑事」などのような1時間の刑事ドラマを見ている感覚で楽しめた。

で、この作品ではインターネットを使った誘拐事件というものだが、97年に雑誌連載が始まった作品で、いち早くネットの匿名世界の危険性、HPを作るものの心情などが描かれたもののように思う。現在と、ネットを取り巻く環境が異なってきた部分が大きいわけだが、それでも同じネットを利用する者として共感できる部分があり、そういう点でも楽しめた。