ある意味すごい
★★★★★
「国家の品格」で大きな注目を集めた著者が15年程前に書いたエッセイ集です。驚くのは15年前から言っている事にぶれが全く無いこと。本書でも「小学生に英語を教えるくらいなら国語の時間を増やすべし」「真の国際人とは自国の歴史・文化をきちんとしている人間」等々。私も海外に10年ほど住んでいましたので、著者の言うことは良くわかります。いずれにせよ、10年前と比べて言ってることが変わってしまう人が多い中、ずっと同じ事を主張し続ける著者の姿勢には脱帽です。
面白さに星5つ
★★★★★
とにかく面白いです。
ところどころにユーモアが盛り込まれていて、大人、を感じさせます。
最後の子供の検便での学校との対立の顛末も読ませます。
こういう偏屈な人が身近にいたらちょっと鬱陶しいかもしれないけど、本で読む分には面白いのでいいです。(失礼しました)
負けず嫌いだった父親
★★★★☆
数学者の視点から眺めた清新なアメリカ留学記『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞、独自の随筆スタイルを確立し、今も多くの愛読者がある。
本書掲載の66編の随筆から「父の負けず嫌い」を取り上げてみたい。父親のペンネーム新田次郎は、諏訪市新田で生まれた次男であるからと言う。
父親が小説を書き始めた動機については、母親藤原ていの『流れる星は生きている』が脚光を浴びたのに刺激されてらしい。妻を訪れる編集者たちにお茶を出す屈辱に耐えかねて、とも言われている。彼は藤原家のお家芸とも言える俳句や和歌をたしなんでいて、文章にも自信があった。妻の書いたものがベストセラーになったことから、負けず嫌いが頭をもたげ、あれくらいなら自分にだって書ける、と思ったのではなかろうか。
運よくサンデー毎日の懸賞小説の一等に選ばれ、作家として幸先よいスタートを切ってからも、気象庁の仕事はいささかも手を抜かなかった。どんなに締め切り原稿がたまっていても、勤務中はただの一行も書かなかった。
かつて母親は五歳、二歳、零歳の幼児を連れて北朝鮮の野山を彷徨し、脱出する時、父親は部下を残して帰国するのを拒否した。公を私に優先したのだった。作家としも直木賞等をもらったが、家庭においてだけは負けず嫌いを貫徹できなかった。妻に頭が上がらないという不満が創作意欲を高めたかもしれないと正彦は思う(雅)
武士道
★★★☆☆
1994年に講談社から出た『父の威厳』に新たに15編を加え、改題・文庫化したもの。
全部で66編のエッセイが収められている。短いものばかりで、さすがに寄せ集めの印象は免れない。代表作『遙かなるケンブリッジ』などと比べると、かなり落ちてしまうのは仕方ない。
しかし、著者の気っぷのよさというか、心地良い頑固さのようなものは充分に伝わってくる。不正に出会ったときに意志を曲げない強さ。まあ、現実世界を生き抜いて行くには困りものかも知れないが、ちょっと憧れてしまうところがある。
自分を飾らないところが魅力。
藤原節が炸裂
★★★★★
数学者として1人の男として、様々な角度からまとめたエッセイ集です。非常に短い短編なので、あっと言う間に読めて、しかも吹き出してしまうほどの面白さも備わっています。特に、日常を舞台にした妻とのやりとりは必見です。