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君を乗せる舟―髪結い伊三次捕物余話 (文春文庫)

価格: ¥570
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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新たな展開に、目が離せない ★★★★☆
2年前、金貸しの勾当が殺される事件があった。下手人は不破友之進の息子龍之進が
通っていた塾の師匠だった。龍之進が事件の一部始終を目撃していたことで師匠は
捕まったが、娘のあぐりがひとり残された。そのことに心を痛めていた龍之進だが、
あぐりに悪の手が伸びようとしたとき、敢然と立ち上がる!表題作「君を乗せる舟」を
含む5編を収録。髪結い伊三次捕物余話シリーズ6。

この作品の中で、不破の息子龍之進はいよいよ元服する。そして、世の中を騒がせて
いる「本所無頼派」を捕らえようと、仲間と共に「八丁堀純情派」を結成して日夜
駆けずり回っている。一人前になるにはまだまだ修行が足りないが、おのれの信念を
貫こうとする姿は頼もしい。そんな龍之進の淡い恋心を描いた「君を乗せる舟」は、
忘れていた遠い日のほろ苦さを思い出させる。このタイトルには、龍之進の切ない
いが込められている。彼は、確実に大人になっていく。また、伊三次の息子伊与太も
日に日に成長していく。この作品を読んで、時が流れているのだとあらためて感じた。
「本所無頼派」の件は解決するのか?新たな展開に、ますますこのシリーズから目が
離せない。楽しめる作品だった。
“八丁堀純情派”の今後が楽しみ ★★★★★
髪結い伊三次シリーズの6作目。

このシリーズは惰性的に読んできた面もあったが、今作は面白い。
全6編のうち、同心・不破友之進の息子・龍之進の元服と出仕に絡み、同期の新人たち6人の活躍が描かれた作品が3編。
中でも「八丁堀純情派」の編は彼ら新人たちの物語に終始し、本作の主人公である伊三次はほとんど絡んで来ない。
しかしこれが面白いのである。

13歳の見習い同心・龍之進は主役を張るに十分なキャラクターではないか。
父親の小者である伊三次に対しても敬語で接する姿勢には、とても好感が持てる。
そしてまた、伊三次の弟子である九兵衛と主従関係になりつつある展開も良い。

龍之進ら“八丁堀純情派”が成長し活躍する様子を単独でシリーズ化してほしい、とさえ期待してしまう。
伊左次本人の活躍をもうちょっと見たい ★★★★☆
 この本は、「髪結い伊左次捕物帳余話」とあるように、主人公の伊左次が南町奉行所同心の小物として働く姿とその生活が描かれた作品です。同心でも岡っ引きでもなく、更にその下の下っぴきということで、普段の伊佐次は廻り髪結いという、店を持たない髪結い職人をしながら情報収集をしています。そしてことがあれば、彼を使っている不破という同心の手助けをすべく働きます。
 今回もそんなわけで、上司の不破に頼まれて、一風堂という刀剣商の元に持ち込まれた刀からあたりをつけた、とある武家屋敷に住む女中の手に幕府禁制の刀がないかどうか探ってくる御用を言いつけられたりします。これがこのシリーズの話にしては珍しいちょっと怪異譚めいた話ではあったりするのですが、それはまた読んでのお楽しみ。
 さて。このシリーズの醍醐味は、そうした捕物帳としての時代ミステリとしてのそのものずばりの楽しみ方もさることながら、それ以上に「余話」の部分の主人公伊左次や、彼の妻となったお文という芸者とのやりとり、上司の不破の家族の物語など、それ以外の人間同士の関係を時の流れの中で描いていくところです。これが人情話としてとてもよく出来ていて、時に伊左次に、ときに不破の妻に感情移入しながら読んでしまいます。単に面白いだけでなく、人の世の不条理や、やるせないことまでしっかり描かれています。
 今回もその部分が非常に強く出ていて、主人公の息子(といってもまだまだ赤ちゃん)の話や、不破の息子が元服して奉行所に見習いとして勤め始め、同期の見習いたちと成長して行く姿などが前面に出て来ています。逆に前に出過ぎてしまって、肝心の主人公の伊左次の活躍や冒険がさきに挙げた「妖刀」一本だけなのが寂しかったくらいです。
 内容や筆力的にはもはや文句のつけようのないレベルの方なので、そこには文句のつけようもありませんので、あとは伊左次がばりっと活躍する話を次はお願いしたいとただそれだけです。
ファミリーストーリーへの大転換 ★★★★★
前作「黒く塗れ」で予感はあった。
「髪結い伊三次捕物余話」は、
伊三次とお文の二人の物語であったが、
多彩なサブストーリーが交錯する、
ファミリーの物語へと様変わりしている。

夫婦になるまえの伊三次とお文の物語とは、
刹那的になりきれず、
なかば絶望を抱えながら人生を眺めている、
危うい若者のストーリーだった。
ちょっとひりひりする感じの、
辛口の恋愛を読者はちょっぴり心配しながら追いかけていた。

それがどうだろう。
本作の主人公は龍之進であり、九兵衛であり、伊与太、茜だ.
新しい主人公達が面白かった。可愛いし。
龍之進の出仕、龍之進と九兵衛との関係、伊与太と茜。
著者のあとがきに共感するが、
甥や姪のこどもをかわいがるような心持ちになれる。
そういう点で本シリーズ、
新しい局面に突入したと思う。

シリーズものを上手に延命させていくには、
新しい血を常に入れていかなければならない。
翻訳ものだが「検屍官」シリーズのように袋小路に入り込んで、
思い切り煮詰まることもある。
本シリーズは世代交代がうまいなあと思う。
しばらくは龍之進の成長のストーリーと伊三次一家のファミリーストーリーが、
物語の中心を織りなしていくと思うが、
期待感がある。今後に期待。

最後にお文はまだ母親キャラだけにしないでほしいと。
もっと活躍させてほしいのだが。
伊三次の活躍は? ★★★★☆
伊三次シリーズ第6弾。今回は短篇集。
文庫化されるのを待ってました。久しぶりの伊三次を楽しみました、と書きたかったですね。
「妖刀」は最初の話でよかったのか? と思いました。今までになく怖さを感じました。
それに、不破の息子の龍之進の元服やら淡い初恋の話があり、伊三次は脇役? と首を傾げてしまった。
段々と龍之進や伊三次の息子の活躍へと移って行くのだろうか?
それは少し淋しいが、表題作はせつなくて胸に迫った。