新宿・歌舞伎町を根城に、子供の臓器売買以外なら何でもやるという日本と台湾のハーフ・健一。彼は上海マフィアのボスから、組織の幹部を殺害した富春を探すよう命じられる。そこに富春の愛人だと名乗る女・夏美が現れ、健一は彼女に引かれるがまま、やがて危険な罠へと陥っていく…。
馳星周の同名ベストセラー小説を原作に繰り広げられるハードボイルド・アクション・ロマン映画。アジア映画の顔とでもいうべき人気スター金城武の日本映画初出演や、当初ヒロインとして予定されていた葉月里緒菜がクランクイン直後に突然降板し、山本未来に交代になるなど、製作中は何かと話題の尽きない大作で、実際に歌舞伎町にセットを組んでのロケ撮影も評判となった。
監督はリー・チーガイで、スタッフも日本と香港の混合。現在の混沌とした日本のありようを、国際感覚豊かに描いたファッショナブルな作品として見応えはある。第18回香港電影金像奨では美術賞(種田陽平)を受賞。(的田也寸志)
金城武
★★★★★
とにかく色っぽくてカッコイイ。当時、劇場で見た時には日本語がたどたどしくてちょっと…と思ったけど、これが逆に色気倍増か?とも思える。原作本を読んでから見た映画だから、原作を期待して見るとかなり物足りないかな。現在「レッドクリフ」の好演、「傷だらけの男たち」でも色気発揮だけど、若き日の金城武なら「不夜城」。山本未来の体当たり的演技もとっても好感が持てるし、あのベッドシーンはすごい。この映画の競演がきっかけで椎名桔平と結婚したのかな?「不夜城」の中で『三国志の〜』って会話が出てくるのは、今の金城武のレッドクリフ出演を案じさせるモノ?なんて勝手に思う私。金城武ファンなら一見の価値アリな映画です☆
24歳 金城武
★★★★☆
「神様、もう少しだけ」を見た後にこの映画を見たけれど、当時はドラマの『石川啓吾』のイメージが頭から離れず、なんとなく好きになれないでいた。
けれど時間が経って金城武がアジアの大スターになった今、もう一度日本でブレイクしたあの頃を懐かしく思い数年振りに見た。原作は読んでいないのが幸いしているのだろうが、劉健一を演じる若い金城武に釘付けになる。雰囲気、存在感がやっぱり普通じゃない(苦笑)アップも綺麗そしてカメラを引いた全身を映し出してもやっぱりサマになっている。確かに日本語の台詞は今よりずっとたどたどしい面もあるが、日台ハーフという実像と同じ設定ということでそこを追求してしまうと劉健一じゃなくなる気がするので、これでいいかなと思う。代役で山本未来になったと聞くがこれは成功したんじゃないかと・・・。
24歳の若さであの男の色気・・・。金城ファンにはたまらない作品かもしれない。
オールバックの時、髪を下ろしている時・・・。まるで感じが変わる武。私は髪を下ろしている方が好きかも(笑)昔見たけど・・・の方は再度お手に取って見てみてはいかがでしょうか。
家宝にしました(笑)
★★★★★
欲望と策略、血にまみれたラブストーリー。
原作の無国籍で乾いた雰囲気がよく表現されていると思います。
妖艶にして時に少女のように可愛らしい、山本未来の演技が秀逸でした。
一方、主演の金城武の風貌は役柄にぴったりでしたが、
舌足らずな日本語の発音にどうしても不満が残るところ。
ラストシーンは、原作で車内だった場面設定が埠頭になっています。
チャレンジングですが、結果的に大きな成功だったと思います。
埠頭の美しいシーンは脳裏に焼きつきました。
個人的には、B’zの主題歌もベストマッチでした。
歌詞が物語のストーリーをなぞっていますね。
僕は先に映画を観てから原作を読んだのでしっくり来ましたが、
原作が先だと違和感があるかもしれませんね。
不夜城をきっかけに、馳星周ワールドにどっぷりはまりました。
続編の「鎮魂歌」「長恨歌」もオススメです。
最強の ダーク・ヒーロー 現る!
★★★★★
新宿歌舞伎町。
海外マフィアが牛耳るこの街は、
日本であって日本でない場所。
劉健一はその中でも、特殊な存在。
日本人と中国人のハーフ。
日本人からも中国人からも拒絶され、
どの組織にも属さず、自分の勘だけを頼りに
綱渡りのように日々を生き抜いていた。
過去の事件が発端となり、
劉健一は歌舞伎町のマフィアグループ間の抗争に巻き込まれる。
その状況はあまりにも絶望的だ。
しかし、危機に直面するほど
圧倒的に輝く劉健一の魅力。
ただ生きるためだけに、もがき続ける劉健一の姿は
哀れだが、タフで、したたかで
最高にCOOLだ。
キーとなる一人の女、夏美。
行動を共にするうちに、明らかになっていく夏美の驚愕の過去。
劉健一は、彼女に自分の影をみる。
同じ傷をもった二人は、
極限状態の中、互いを激しく求めていく。
やがて、劉健一は
生き延びるために、究極の選択を迫られる。
そして、生き延びるために
劉健一が代償として捨てたものは
あまりにも大きい。
人生は取捨選択の連続だ。
程度の差こそあれ、
基本的に何かを犠牲にしなければ、
何かを得ることはできない。
皮肉なことに
やさしさや愛といった人間が人間であるための
最も大事な物を捨て去ることで
劉健一は生き残り、
歌舞伎町の中国マフィアのボスに君臨しつつあるところで
映画は終わる。
我々も、劉健一と同じように
(消去法さえ通用しない状態であっても)何かを選択し、
そして、掛け替えのない別の何かを
犠牲にしながら、生きている。
映画のエンディングで
劉健一が呟いた最後の一言が印象的だ。
「ところで、夏美って誰だ…」
我々も劉健一と同じように、
その犠牲に気付かないで
― あるいはその犠牲に気付かないふりをしながら ―
生きているのだ。
98年。
★★★★★
98年の初夏。タクシーの窓にべたべたとステッカーが貼ってありました。20世紀ももうすぐ終わるというあの時代を象徴する映画でしょう。今となってみれば結構のどかな時代。悪がはびこってようと活気のあった歌舞伎町。あの2000年の大火災を期に歌舞伎町は衰退の一途をたどり、今では出口の見えぬゴーストタウン化してしまいました。新宿インシデントや龍が如くが束になってもかなわないあのころの熱気に満ちている懐かしい映画となってしまいました。究極の激しいリアルが懐かしい甘美なノスタルジーにとってかわるというパラドックス。