また、すばらしいなと思ったのは、主人公に最低限の道徳観を持たせた点です。わかりやすく言うならば、主人公は「つっこみ」の役目を果たしています。本作は、どいつも好き勝手やってばかりの「ボケ」ばかりですが、そこにちゃんと主人公が「つっこみ」を入れることで我々一般人にも感情移入する余地を作者は与えてくれています。そのバランス感覚が見事です。私は、本作が町田康氏の初体験でしたが、そんな氏の才能に感服いたしました。