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ローマ人の物語 (13) 最後の努力 (ローマ人の物語 13)

価格: ¥2,730
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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だってしょうがないじゃないか、と。 ★★★★☆
久しぶりに、塩野さんのローマ人の物語を手にとってみた。千年近くを旅する物語も既に全15巻のうち13巻目。時代は3世紀末から4世紀になる頃で、同じく古代文明が花開いた中国では秦漢王朝も後継の三国も滅び、西晋が異民族の侵入で滅ぼされる時期に当たる。理性が花開いた古代は終わりに近づき、「暗黒の」とも形容される中世が近づいている。

今回はそんなローマの本質が変わりゆく時代に、帝国を立て直そうとしたディオクレティアヌスとコンスタンティヌスを採り上げる。強くしなやかだったローマは既に過去のものになった。皇帝と軍隊は内紛を繰り返し、国の主導権は辺境の守護者であるバルカン人たちに委ねられる。しかしローマは分裂することなく、様々な人種からなるローマ人たちは団結を維持し、リメス(対異民族防衛線)に囲まれたローマ世界を守ろうとする。しかしどうすれば守れるのか。二人が出した答えは「普通の帝国化」だったようだ。皇帝の権威強化、帝位の世襲、皇帝を支える強い軍隊と官僚、それを賄う重税・・・。そうするしかないじゃないか、という当人たちの声が聞こえて来そうなものだが、塩野さんは「ローマがローマでなくなっていく」と、悲観的に捉えている。同じことの繰り返しが多く、老人の繰言のようにくどいのが難点だが。

そして将来を大きく左右したのは、コンスタンティヌスの東方シフトだろう。コンスタンティヌスはローマをイタリア中心の古代ローマからギリシアのビザンティン帝国に生まれ変わらせ、更に千年の余命を与えた。そのためにはキリスト教徒の支持を得る必要がある、とまで見抜いていたとしたら、コンスタンティヌスは相当な慧眼だし、カエサルやシャルル大王と並んで、今日のヨーロッパ世界を作った一人、と称しても過言ではない。

塩野さんの長い物語もあと2冊。ローマがローマでなくなっていくとなると正直気が重いが、やっぱり読むことにしよう。次巻ではあの、背教者ユリアヌスが登場することだし。
ローマ帝国に脱力感 ★★★★☆
 3世紀にはゲルマン人達の侵入が激しくなった。安全保障が成り立たなくなれば、農作物の生産量は落ち、輸送も困難になる。インフレの到来である。

 ローマ皇帝とは、自ら軍を率いて敵と戦い、さらに経済政策も行うスーパーマンであることが求められる。しかし、アラブ地方、トルコ、フランス、北アフリカ、イギリスを1人で統治するのはもう無理。で、筆頭皇帝の下、複数の皇帝が地域を分割して担当することになった。

 ところが彼らがで内戦をおっ始めるのである。そんなことしてる場合じゃないだろうに、皇帝が国より地位を求めだした。ああ、そんなのローマ人じゃない。最後にはキリスト教を味方に付け、キリスト教が認めた王ということで他人を納得させる皇帝が勝ってしまった。コンスタンティヌスである。

 彼はあろうことかローマを捨て、キリスト教のための新たな首都をビザンティウムに築く。彼の名を取ってコンスタンティノポリス。現在のイスタンブールである。嗚呼、もうローマは政治的にはお飾りになってしまった。もはや栄光のローマ帝国は無い。
ローマ皇帝って何だったんでしょう ★★★★★
ローマ帝国が元首制から専制君主制へと大きく舵を切った、キリスト教が世界宗教へと変質した、そして、ヨーロッパが中世への第一歩を踏み出した、ディオクレティアヌス帝からコンスタンティヌス帝の治世をとりあげた巻である。最近、キリスト教芸術とキリスト教史に興味を持っている私としては、大変興味深く読んだ。

物足りなく感じたのは、首都ローマの市民と皇帝の関係がイマイチ分からなかった点だ。これは、前巻位からなのだが、ローマ市民や元老院はまったく登場しなくなる。これを乖離したからだと単純に考えると皇帝が防衛線を一生懸命守っているのは何を守っているのだろう。単純に中世的に自分の領土を守っていると思えば良いのだろうか。まあ、この辺が古代ローマ帝国から中世国家への移行なのかもしれない。

「ローマ人の物語」の様な大部の書物を良く読めるなあ、と言われることがある。しかし、大部だからこそ読めるのだ。塩野七生は特に「ローマ人の物語」では、繰り返しを恐れない。前に何度書いたことであろうと、その場面で必要な情報は繰り返して提示する。専門家が読んだら、同じことをくどくどと繰り返して馬鹿にするな、かも知れないのだが、私のような素人は「そんなもの忘れている」「うろ覚え」「言われるまで関連に気づかない」のいずれかなので、繰り返してもらった方が分かりやすい。繰り返すとどんどん大部になって行くという寸法だ。繰り返しがお話を聞いている雰囲気を作り、いよいよ読みやすくなる。ディオクレティアヌス税制の話をするのに「アウグストゥス税制は第6巻で書いたから知ってるよね」と言われたら、全然読めなかったと思う。ローマ街道が高速道路網だなんて話は何回出て来たか。

ただ、最近の塩野七生の文章は、「ならば」の使い方がものすごく気になる。昔から使い過ぎだと思っていたのだが、この2・3年はいよいよ多くなって来た。大作家になってしまって、編集者が口を出しにくくなったのかなあと邪推しています。それさえなければ、ものすごく好きな文章なんだけどなあ。
大事な魔法が溶けて。。。。 ★★★★★
西ローマ帝国が滅びた原因は、皇帝が空位になった瞬間に起こった
ローマ皇帝の権力の魔法が溶けて意味をなさなくなった
蛮族を屈服させその後自分の血や肉にしてきた帝国であるが、
周りの国を政略の毒で征服していたが、自分自身を滅ぼしてしまった
手と足と尻尾と胴体のない猫が頭までなくしたということです
すごく今も国際化について考えさせられる気がします
塩野先生の1行1行のこだわりがにじみ出てよかったです
ギボンのように続編を書けなくはないのでしょうが
つまらないだけなのでここでやめておいて正解であると思います
著しく変容を遂げてしまったローマ帝国 ★★★★★
相次ぐ蛮族の進入に翻弄され、70数年のうちに22人の皇帝が相次いだ時代(『迷走する帝国』)を経た次の年代。
帝国を4分割し、4人の正帝・副帝により職務を分担する「四頭政」を導入し広大な国土を治めたディオクレティアヌス帝、キリスト教を公認しコンスタンティノポリスへの事実上の遷都を行ったコンスタンティヌス帝の2皇帝の治世を描く。
もはやここに至るとローマ帝国は著しくその内容を変容してしまうことに気づかされ、ある種の寂寥感を伴う。
著者は単に権力の興亡・皇帝の事績を追うだけではなく、シリーズの初期の巻の中で著者が礼賛したローマをローマたらしめていた数々の特性・社会制度・考え方が失われていく様を丁寧に描いていく。シリーズを通じての一大テーマ、「ローマ帝国はいかにして隆盛し、また衰退したのか」に繋がる一端に触れ、知的好奇心の冒険ができる