大人の恋の物語
★★★★☆
恋に大人も子供もないのかもしれない。人を好きになるのに差はないし、恋に「墜ちる」ことは同じ。
人を好きになればなるほど不安になり、その不安を消したいから言葉や物や将来の約束といった「確かなもの」を欲しがるのは当然のこと。
だけど、いくつもの恋を経験した45歳の主人公はもはやそういったものは求めない。恋は生きものであり、静かに生まれ燃え上がり、だけどいつか必ず終わることだということを十分知り尽くしているから。だから求めるものは2人で過ごす時間であり、お互いの「心」だけである。
読み終えて、特別感動するわけでもなく、涙を流すわけでもない。静かに本を閉じ窓辺に立って外を見た。
結果がどうであれ、こんな恋ができるなら、こんな人生もいいかもしれない。結局、本人がどう考え、どう納得するか。
大人の男女に、時間の空いた時に一度読んでみてもらいたい本である。