用心棒@ブラジル
★★★☆☆
船戸与一の多くの作品において主人公が異郷の地を放浪するのは、船戸の描く主人公に狭い日本は似合わないからだ。
というのが、船戸作品の評価の1つであるらしいが、少なくとも「山猫の夏」は、日本人を主人公とした西部劇という感じ。すなわち、型破りな主人公には日本は似合わないというより、西部劇の主人公を日本人にするならば、型破りなキャラクターでなくては成立しないというのが、この作品の根源ではないか。
舞台を世界最大の日系人居住地であるブラジルにして主人公が日本人であることにリアリティを持たせてはいるが、荒野を馬で旅する賞金稼ぎというシチュエーションは典型的な西部劇だし、「ふらりと現れた主人公が、対立する2つの組織の双方を欺き、最後には全滅させて去っていく」という展開は、黒澤明の用心棒そのものだ。
冒険小説の嚆矢であるとの評価は否定しないし、日本人が主人公であることへの満足感も高い。しかしながら、日本人以外の読者がカタルシスを得られるかは心もとないし、ストーリー展開に突詰めてオリジナリティがあるかというと、甚だ疑問だ。
熱い
★★★☆☆
B級アクション活劇的な、懐かしいにおいがします。
手軽に熱くなれます。
ラストシーンが秀逸、いや、もはや強烈
★★★★★
もちろん最初から全部読まなければ意味は無いが、20年前に初めて読んでから今に至るまで、このラストシーンを越えた小説を私は知らない。
読み返すまでも無い。
思い出すだけで目頭が熱くなる。
こんな小説を書いてしまったら、普通の小説家はもう一生使い物にならなくなるのではないか。
それでも精力的に作品を書き続ける船戸与一、凄い男である。
シブイ!!
★★★★★
船戸与一を知り、衝撃を受けた作品です。
「伝えろ、お招きによってたったいま山猫(オセロット)がやってきたとな。」
シブイ!!
No1だ!
★★★★★
何度読んでも凄い小説だ。
この著者の作品では主要登場人物が数多くいて、それらのエピソードをまとめきれなていない場合もままある。特に後期の作品ではそう感じることも多い。
しかし『山猫』では、そこがすっきりとまとまっていて、それでいながら重厚なボリューム。短編も上手い著者だが短編での切れが活きている。
今の船戸が同じ話を書いたらこの3倍くらいの量になってグダグダしてしまうかもしれない(笑)。