「根っこ」へのプライド
★★★★★
きくち正太さんのシリーズ第十一弾
この巻も相変わらず味わい深い巻だが、相手が、自分の女優生命を断ち切るだけの力を持つ有力な脚本家であっても、決して妥協しない若手女優を描いた、八十八話から九十三話はシリーズ全体を通して見ても秀逸。
ふるさとに、母の仕事に愛着と誇りをもっている人が、自分の技量だけならまだしも、「根っこ」の部分を軽く扱われたんじゃあね。ふるさとを離れているだけに、気持ちはわかる。うちの田舎は確かに何にもない山の中だけど、田舎のゆずとかしいたけとか馬鹿にされたり軽く扱われたら、相手が自分の会社の社長でも妥協しないでいたいものだ。(小市民だから妥協してしまうかな...。)
この脚本家もそうだが、ここのところお仙に登場するキャラクターは、敵役でも格好良い人物が多くなってきた。