インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

神々の乱心〈上〉 (文春文庫)

価格: ¥778
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
Amazon.co.jpで確認
ほぼ新品ですが、キズ、スレ等ある場合が御座いますが綺麗な状態になります。
未完ながら読み応え有り ★★★★☆
この本を読む前に松本清張記念館で、たまたま、未完の最後の作品展として行われていた特別展を見ました。ベースになった実際の事件や時代背景、編集者を通して取り寄せていた膨大な資料。メニューのことで、帝国ホテル?だったかの料理長に問い合わせた内容なども残っていました。病床で書き続けておられたことを考えると、未完なのが残念です。もちろん、最後はこうなっていたんだろうなということはある程度わかりますが、最後まで手を入れ続けていたことを思うと完成した作品をぜひ読んでみたかったです。
きっとどんな作家さんも資料をたくさんお持ちなんでしょうが、清張記念館では、清張の書斎が再現されていて、これだけの本を本当に読んでいるのかと不思議に思うくらい。きっとまだまだ書きたいことがあったんだろうなぁと感じます。
小説でありながら、ノンフィクションのような。 ★★★★★
 この作品は関東の某所に新興宗教が起きたことから始まるが、宗教団体を設立し、運営するのは簡単なことと思わせしめる。いつの時代も、なんらかの新宗教が起きるが、それだけ人間は弱い生き物ということになる。

 日本は日清戦争において台湾を得たものの、アヘン吸飲者対策で苦慮している。イギリスが持ち込んだアヘンによって清国は国家そのものが傾いてしまったが、それが日本の大陸政策にも大きく影響を及ぼしている。
 宗教、アヘンという人間の弱点を並べたストーリー展開は先へ先へと読むスピードを増していった。

 この作品は松本清張の『昭和史発掘』がベースになっているが、フィクションと小説とがうまく絡み合っている。まったく飽きさせずに読み進むことができる。
 反面、フィクションを事実として誤認する危険すらあるが、それだけ、完成された小説ということになる。
『昭和史発掘』では述べられなかった中国の民族問題にも言及し、松本清張の死が惜しまれる。
昭和初期の時代の雰囲気を楽しむ ★★★☆☆
物語の始まりは昭和8年10月10日.原武史氏の『松本清張の遺言(神々の乱心を読み解く)』では,この前年昭和7年3月に満州国が成立し,昭和8年12月23日には現天皇の昭仁親王が誕生するという歴史的な背景が年表に紹介されています.

埼玉県特高課係長吉屋謙介が東武東上線の沿線秩父に近い梅広にある謎の施設月辰会総合研究所から出てきた北村幸子に任意同行を求めたことが契機となります.彼女は皇后宮職深町女官(萩園彰子)の部屋子であることが判明.彼女に託された深町女官宛ての御霊示の内容は不問のまま,事件は静かに展開します.吉屋謙介に密命を暴かれそうになった北村幸子は,女官見習いを辞し故郷の奈良県吉野に戻った直後に,神官である父に鏡についての謎かけの言葉を残したまま吉野川に入水します.自殺の謎を巡って,萩園彰子の弟で子爵家の次男坊萩園泰之と特高係長の身分を秘した吉屋謙介が,それぞれ独自の調査を開始します.昭和8年末,渡良瀬遊水池で発見された2名の男性の他殺体の身元調査をきっかけに,大正10年に満州で起きた阿片密売と政友会への不正献金をめぐる疑惑に関連した人物が洗い出されます.事件は,私立探偵的な役割の萩園泰之と匿名捜査により月辰会の内偵を進める特高刑事吉屋謙介が交差しながら複雑さを増していきます.物語の本格的な展開は下巻からのお楽しみということでしょう.

松本清張らしくミステリー仕立てになっていますが,推理小説としての筋立ては少し詰めが甘く,強引な展開に感じられます.でもそのような仔細は気にせずに,昭和史の秘話をテーマにした作品として, 2.26事件前夜の時代の空気を感じながら読みすすむ余裕が必要です.
松本清張の帝都物語? ★★★★☆
最近のテレビドラマ(黒革の手帳、けものみち)で松本清張に興味を持ちいろいろと詠み始めました。
社会派推理作家と呼ばれていることを知っていたくらいで、なんとなく社会の底辺を行くような暗いイメージがあったのですが、すぐれた作品が多いのに今更びっくりしています。
が、清張の最後の未完の作品であるこの小説は異色です。
皇室に仕える女官が通う謎の組織、由緒ある神社の子女の自殺、巫女の素質がある家系の末裔の女性、皇居で起きるホラーめいた異変、舞台は満州国に移り・・・なんだ、なんだこれは?荒俣の帝都物語じゃないのか?と思うほど非現実的に物語は進行し「本当に松本清張!?」と思ってしまいました。
帝都物語が好きな人なら間違いなく気に入ると思います(笑)。
それに探偵の役どころを演じる旧華族の次男坊、萩園泰之がいい味を出しています。
教養と知識があるのに飄々として気取らず、大事な場面で冗談ぽく義太夫を口ずさんだりして、京都の芸妓出身である若い奥様を赤面させたりします。
あの時代にしては大変な愛妻家で男性としても魅力的。
このあたりの粋なユーモアも、とても松本清張らしくありません(笑)。
この人を探偵役にしてシリーズを書いてほしかったと思ってしまいました。
最初に思いっきりかきたてられた「この謎はいったいどこへ向かうのか??」という好奇心が、ラストに向かうにつれて「なんだ、ただそういうことだったのか」とやや盛り下がってしまうのが残念ですが・・・(ネタばれになるので書きませんが)。
未完とは言え、詳しい解説もついているので、結論はだいたい想像できるようになっています。
清張の異色作と言えると思います。
清張未完の大作 ★★★★☆
一人の若い女性、幸子を死に追いやったのではと自責の念からつい捜査に走ってしまう特高の吉屋第一係長。不思議な破軍星紋の付いた通行証と半分に割れた鏡の追求が始まるのだが、女官の深町掌侍を姉にもつ華族の萩原泰之の存在が気にかかる。女官に仕えていた幸子の真の自殺の原因は何か。女官のしきたり、屈折した人間関係か、我々には、想像もつかない世界がそこには、詳しく描写されています。さらに、新たな第一、第二の遺体が発見され幸子との繋がりはあるのか。吉屋の行く先々に泰之がいた。自分には、複雑過ぎて難しかったです。関東軍、麻薬密売人、新興宗教、これらは、どう繋がるのだろうか。