うーん・・・
★★★★☆
先の方もおっしゃっていますが、このDVDのポイントは、何と言っても野沢さんの吹き替え収録でしょう。
彼の吹き替えで見たほうが、断然感情移入できます。
しかし、後半サンドラの凄惨な暴行シーンがまるごと削除されていました。
画面サイズも、少しがっかりしました。
個人的に70年代ドロン映画の中では、トップ3に入る作品です。
ドロンのたたずまい、靄が立ち込める片田舎でのカーチェイス、哀愁を帯びた音楽・・・と、ムードたっぷりに魅せてくれます。
マカロニの監督ということで暴力的な表現も、他のフレンチ・フィルム・ノワールと比べれば過激なようです。
最近アラン・ドロン出演作が再販されているようなので、若い人にも、もっと知ってほしいです。
ベタなイタリア映画だった
★★★☆☆
マフィア(組織)の恐ろしさを表現するシーンが少ないせいか、
ヌルい連中相手に余裕で連戦連勝する美しきアラン・ドロン様の立ち振る舞いに
酔いしれる、アラン・ドロンファンのための映画。
マカロニウエスタン的なB級臭が強いために、
ニューシネマ的なエンディングがサプライズにならなかったところが残念。
幸薄い一匹狼は、A・ドロンの真骨頂
★★★★☆
主題歌は、今でも日本のTVのイタリア紀行番組でよく耳にする切ないメロディーの曲で、イタリア本国で大ヒットしました。
名画「ゴッドファザー」の大ヒットの後に作られた映画なので、どうしても比較されがちな作品です。また、「ゴッドファザー」で、M・ブランドと敵対するマフィアのボス、バルジーニ役を演じた、R・コンテが出演しているのもご愛嬌。
確かに、二つの映画を比較すれば、良く似たシークエンスがあり、良くも悪くもイタリア流の映画です。でも圧倒的に魅力的なドロンなので、★4個。
映画の冒頭、家庭での良き父親ぶりから一転して見せた、A・ドロンのクールな殺し屋のシーンで、まずハートをつかまれます。カッコよすぎるのです。
他のレビュアーの方が書かれていますが、少し首をかしげて全く表情を変えずに、さらりと2人の男を片づけるドロンにしびれました。
愛する者を奪われた後の、墓の前のドロンの悲しみをたたえた瞳の演技にもひきこまれました。
マフィアのボス達への復讐を、一匹狼の殺し屋のドロンが果たそうとするストーリーで、ドロンの体を張ったアクションシーンも迫力がありました。
カーチェイスとカーアクションも激しかったです。
なんといっても、ドロンの体のさばきが美しくて、立っている後姿、ただ廊下を歩くシーンだけでも見ているだけで楽しませてくれます。
映画館まで足を運んでお金を払って見に行く、往年の「映画スター」の価値を改めて感じさせてくれました。
方向転換したドゥッチオ・テッサリ 〜ドロンの静から動のアクションの転換は?
★★★☆☆
この作品アラン・ドロンの作品と観るよりドゥッチオ・テッサリ監督の作品として観た方が良い。この監督はマカロニ・ウェスタンでジュリアーノ・ジェンマのリンゴ・シリーズがうけたのだが、この作品は脱マカロニ・ウェスタンを狙った方向転換の作品。フランスでジャン=ピエール・メルヴィル監督と組んで寡黙な殺し屋で静的なアクションを魅力としたアラン・ドロンなのだが、この作品ではカーアクションも自らドライバーとして演じ動的な魅力をみせる。
前半、組織に反する幹部を始末した後でその部下が殺しの現場に入ってきた時に首をかしげながら表情を変えず射殺するシーンはドロンの冷徹な魅力が100%出ている。その後足を洗うと宣告してから、妻子を失うまでは最高に緊張感があって良かった。
しかし、組織の幹部や部下を殺していくところでは主人公の魅力が低下する。列車で射殺した死体が窓の外に折れ曲がり標識にぶつかるシーンをこれでもかとみせつけたり、ドロンが殺した死体の裂かれた首をクローズアップしたり、イタリア的な残酷趣味の見せ場があるが作品全体の雰囲気をドロンの魅力ではなくマカロニ・ウェスタン的なもので表現しようとしているところが残念。
また、幹部の邸宅を守る部下が何故か2人しかいなかったりと設定も突っ込む要素も十分あったりする。
カーアクションは迫力もあり良いのだが、ドロンがやらなくてもと思ってしまう。ラストへの設定は「ゴッド・ファーザー」の終盤の設定にも似ていて殺し屋の復讐劇はなく、マフィア映画だったのかということを思い知らされる。
ドロンは確かにかっこいいのだが、メルヴィル監督の「サムライ」や「仁義」の殺し屋ドロンを期待して静的なアクションの魅力を期待して観ると外れるかもしれない(動的なアクションがダメというわけではないが)。
当時の興行成績もテッサリ監督のマカロニ・ウェスタンよりイタリアでも伸びなかったのもわかる気がする。
亜流と思うなかれ
★★★★☆
70年代、名作「ゴッドファーザー」公開を皮切りに起きたマフィア映画ブームに便乗した作品である。
しかし、ただの亜流と思ってはいけない。
まず、主役のアラン・ドロン。ガンアクションはもちろん、最愛の家族の死に驚愕・涙する熱のこもった演技で観客を感情移入させる。
そして、監督のドゥッチオ・テッサリ。マカロニ・ウエスタンで鍛えた切れのいい演出でダルさを全く感じさせない。特にラストの、音楽・映像・内容が最高潮に達した瞬間、ストンと落とす演出には思わず言葉を失ってしまう。
残念ながら、ドロン自身の吹き替えはないが、野沢那智のニヒルな日本語吹き替えが収録されているので買いです。聞き惚れますよ。