この本では、両親との、必ずしも楽しかったとは言い難い思い出の数々が、その他の幼い頃のエピソードとともに綴られ、最後に両親の死と、両親から語り手が受け継いだ(相続した)性格についての叙述が加えられます(本の中ではInheritanceというタイトルの章が設けられています)。
この過程をもってして、「若かった日々」の終わりと考える。
僕はそのように受け取りました。
文体はとても静かで、さっぱりとしていながらも(入り組んだ構文になっていない)、力強さを感じます。
もちろん、英語なので、僕の語学力では細かいニュアンスまでは汲み取れないのですが。
他の作品、"The Gifts of the Body"、や"Excerpts from a Family Medical Dictionary"なども、基本的には”the end of youth”と同系列の物語と考えていいと思います。
"The Gifts of the Body"は、死を間近に控えた人たちの世話をするホームヘルパーの話。
"Excerpts from a Family Medical Dictionary"は、重病を患った母親の身の回りの世話をしながら、息をひきとるまで見守る話。
淡々とした文体が、いたずらに涙を誘うことはありません。
筆者の断固とした態度が、ずっしりと染みわたってきます。