このアルバムが出たのは沢田研二デビュー30周年を記念する1996年である。30周年だからといって別に特別なことはしなかった。しかし、デビュー当時の思い出や、それに纏わる懐かしい洋楽が聴けたり、楽しい内容になっている。
ジュリーのコンサートに行ったファンがよく漏らすのが「知らない曲ばっかり。もっと昔のヒット曲を聴きたかった。」という言葉である。ちゃんとアルバムのタイトルである「愛まで待てない」ツアーと銘打ってあるのにもかかわらず、である。これは、アルバムの曲が中心になるのは当たり前ではないか。
「昔の曲をあんまりやらない」というのは沢田氏がファンを大切にしていないと言うより、ファンが新しいアルバムを買って前もって自習していかなかったという怠慢なのではないか、と思う。昔の曲をもっと聴きたければ正月コンサートのDVDをお勧めする。が、「今の自分の曲」をガンガンやる沢田氏の姿勢に拍手を送りたい。
このコンサートで聴ける往年のヒットは「ストリッパー」、「お前にチェックイン」、「TOKIO」、「ヤマトよりを愛を込めて」である。でもこのアルバルからの曲たちも中々負けてない、と思う。
で、このコンサートは表題作のアルバムより俄然いい。音だけではなくビジュアルが伴うのはやはり大きい。40代も後半に差し掛かった沢田氏の華麗なるあでやかさ。スター性が光り輝くカリスマ。とにかくかっこいいロックなエンターテイメント・ジュリー満載である。
ジュリーのコンサートではもう使用されなくなったキーボード。ここではたっぷり堪能できる。やはりいい。
目も耳も楽しいDVD。お勧め。