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誰もわたしを愛さない (創元推理文庫)

価格: ¥882
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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苦しい話 ★★★☆☆
 単行本(講談社,1997年)→文庫(講談社,2001年)→本書。
 柚木シリーズの第2作。長編。
 今回も憂鬱な事件だ。捜査が進んで行くに連れ、暗い気持ちになっていく。そして今回も俎上にのせられるのは、女性というものの怖さ、複雑さ。でも、魅力的なのだ。柚木の単純さや純真さとも対照させられ、果たしてどちらが良いのだろうと考えさせられ、不安になる。
 まだまだハートボイルド調の強い時期の作品で、読んでいて吹き出してしまう場面も。
ひさびさに直球のシリーズ作 ★★★★☆
東京創元社からの復刊版,第2シリーズの2作目です.

やや毛色の異なった近作と違い,ひさびさに正統派と言える内容で,
主人公と彼を取り囲む女性,そしてそのやり取りが存分に楽しめます.

ただ,物語のきっかけとなる事件が,著者の他作品たちと似ていて,
著者の作品を読んでいる人には,流れが読めてしまうのが少し残念で,
犯人捜しの作品ではないのですが,もうちょっと考えてほしかったです.

とはいえ,序盤でなにげに触れられていたアイテムを使うアリバイ崩し,
相手のプライドに訴えながら,相手を切り崩す終盤はなかなかおもしろく,
その場所や淡々とした口調には,いかにも主人公らしい格好よさを感じます.

また,タイトルはとある人物が口にする言葉が元になっているのですが,
その人物だけでなく,事件の被害者やほかの人たちにもあてはまるようで,
素敵なタイトルの多い著者の作品の中でも,また特別な印象を残すものです.

なお,復刊の今回と刊行当時では作品の順番が違っているのですが,
このことについては,巻末の解説の中でおもしろく触れられています.
また,著者のあとがきにも当時のユニークなエピソードがありますので,
できればすべてを読みおえてから,目をとおされることをおすすめします.
ちなみに初出は97年.作中に登場するアイテムに時代を感じるのも一興です.
ほろ苦さの残る樋口有介ワールドを満喫 ★★★★☆
このシリーズとして期待通りの作品で、ほろ苦さの残る小説。ただ、ミステリーとしてはトリックが平凡で読んでいる途中で犯人が分かってしまう。この小説はミステリーとしてよりも、主人公の心理描写の楽しみが大きい。