長編のが、好きだな。
★★☆☆☆
作者のあとがきにあるように、
どうやら短編は得意ではないようです。
柚木シリーズですが、
これまでの長編ではなく、
中編とのことですが、
3作品入っています。
どれも、
これまで扱ってきた“殺人”とは違う事件の数々。
相変らずの持てっぷりだが、
どうも、これまでとは違ってご都合主義的。
事件そのものの薄さと、
女性像の薄さが、
いまひとつ楽しめなかった。
憂鬱な物語
★★★☆☆
1992年(講談社、単行本)→1996年(講談社、文庫本)→本書。
柚木草平シリーズの第3弾。
「雨の憂鬱」「風の憂鬱」「光の憂鬱」の3篇が収められている。
初期の作品に比べると、ものすごく読みやすくなっている。『彼女はたぶん魔法を使う』あたりで辟易させられた人も、本書なら大丈夫だろう。
女性の恐さが著者のテーマなのだろう。美しかったり、気だてが良かったり、可愛かったり、それぞれ魅力的に見える女性たちが登場するのだが、事件を調査していくと、その醜さや恐ろしさに突き当たってしまう。それでも、男性は女性に繰り返し惹かれてしまう。ただ、本書ではぎこちない部分があるような・・。
ミステリとしての出来はいまいち。
柚木草平、本気のロマンスも?
★★★★☆
「雨の憂鬱」「風の憂鬱」「光の憂鬱」の3つの中編。
雨編では、原宿の総合スポーツ・クラブの美人オーナーからの依頼が、とんでもない方向へ発展する。オーナーの美しい義理の妹、爽やかなスポーツ・インストラクター、と美人も次々登場。「いい女の多すぎるこの東京自体が、おれにとっては地獄」と嘆きながら柚木は捜査を進める。
風編では、人気女優が失踪。美人マネージャーにコーヒーをかけられ、「フィリップ・マーロウも、リュウ・アーチャーも、そんなことで文句は言いません」と開き直られながら、過去をいっさい公表しない有名女優失踪の謎に迫る。
光編では、清潔な笑顔がまぶしいブティックの美人オーナーの所へ、死んだはずの夫から手紙が届く。夫の生死を確かめようと手紙の謎を追う柚木に、もちろん、いつもの「病気」が出る。が、今回は「病気が本物になりそう」で、恋の片鱗がチラホラ見える。3編の中ではこれが一番いいように思う。著者は、
3編を通して(これは著者の癖なのかもしれないけれど)犯罪の遠因ともいうべきものに相通じるところがあって、そこに少し無理を感じます。でも、推理は面白く、柚木草平の「生態」も相変わらずの魅力です。
なにが憂鬱?
★★★★☆
シリーズの3作目,3本の中編集になります.
前作では,やや空まわりに感じたセリフがうまくまわり,
主人公の憂鬱(女性やお金)とともに,テンポよく楽しめました.
また,トリックというか,謎がやや前に出ているようで,
主人公が解決していくため,大きく悩むことはないものの,
ちょっと考えたりと,いつもと違うおもしろさもあります.
ちなみに,3本とも『○の憂鬱』というタイトルなのですが,
その意味や指すところが,なかなか深くてむずかしいです.
読みながら,読んだあとに,いろいろと考えてみてください.
復刊の文庫なのに,いつもあとがきを書く著者にも好感.