ミステリーねぇ
★★☆☆☆
ハヤカワミステリーで、「魔の森の家」カーター・ディクスンや、「51番目の密室」ロバート・アーサーや、「長方形の部屋」エドワード・D・ホックなどが並んでいれば、ちょっと異色の密室物推理小説集と思うじゃない。そう思って買うと星ふたつがいいところ。ミステリーという言葉の意味をどう取るかによるけれど、推理小説が読みたいならお勧めしません。
傑作アンソロジー
★★★★★
先行した『天外消失』に続く第2弾。
1970年代に「世界ミステリ全集」の一巻として出された伝説のアンソロジー
『37の短篇』からのセレクトです。
『天外消失』の14編と比べると、ややレア度は劣る気がしますが
ここの12編も傑作揃い。
さて、残る11編はどうなるんでしょうか?(笑)
巻末収録の対談も見逃せないレアアイテム。
今から38年も前の対談ですが、
その後のミステリ世界の移り変わりと重ねると、変な感慨がわきますね。
傑作アンソロジー
★★★★★
収録作品
「うぶな心が張り裂ける」 クレイグ・ライス
「燕京綺譚」 ヘレン・マクロイ
「魔の森の家」 カーター・ディクスン
「百万に一つの偶然」 ロイ・ヴィカーズ
「少年の意志」 Q・パトリック
「51番目の密室」 ロバート・アーサー
「燈台」 E・A・ポー&ロバート・ブロック
「一滴の血」 コーネル・ウールリッチ
「アスコット・タイ事件」 ロバート・L・フィッシュ
「選ばれた者」 リース・デイヴィス
「長方形の部屋」 エドワード・D・ホック
「ジェミニイ・クリケット事件」 クリスチアナ・ブランド
「燕京綺譚」は佐藤春夫も絶賛したという歴史ミステリの逸品。
「魔の森の家」(江戸川乱歩訳!)と「51番目の密室」は密室ミステリの代表的名作だが、続けて読むとその対比の妙が愉しめるだろう。
「選ばれた者」と「長方形の部屋」の二作品のセレクトには良くも悪くも元版発刊当時の70年代という時代の刻印がくっきり押されている。
編中のベストは「ジェミニイ・クリケット事件」。謎解きミステリのエッセンスのような巧緻さと迷宮に引き込まれるがごとき悪夢のようなイメージを併せ持つ傑作。長編短編を問わずクリスチアナ・ブランドの最高作。