英作文の基本
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戦後に出た共著者との「英作文研究」ー研究社との流れを引くもの。この本は「和文英訳の修行」の基礎編を敷衍したもので材料もかなり重複している。同書を勉強する者は見ておいた方がよい。「英文構成法」ー他の言語でもこれと同じ物があればいいのにとため息が出るーと共にあまたある類書の中でも抜群の好著。「英作文研究」は「修行」の応用編と同じと見て良いが今は手に入らない。ただ「修行」も発行からかなり経っているので言葉の意味も変わっており、(例:call)、注意すべき点が若干ある。然しこれに勝る練習書はまだ出ていないように思われる。
解りやすく最適な英作文参考書。
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サイズも、ページ数も、装丁も、内容も、全て手頃で丁度良いから嬉しい。英語参考書のバイブルのハードカバータイプもいいが、本書のような紙質、表紙の感触もすごく良い。だから手に馴染む、眼に馴染む。ところで本書は英作文を学ぶ上でのポイントを十二講に纏め、第1講の主語の選び方から始まり、動詞、時制、修飾語句、文のつなぎ方、約め方等々の12講、木目細かい内容だ。各講とも基本的に実例に考え方や、研究問題で解説をし、練習問題で仕上げるというものだ。各研究問題の説明は「和文英訳の修業」よりも本書の方がいろいろ書かれている。40数年前の受験時代当時は何せ勉強の範囲が広く時間もなく、「和文英訳の修業」は持っていたが予備編の基本文例集の暗記のみで、基礎編や応用編まではとても手が出なかった。他にも受験生のバイブルと言われていた書も、残念ながら出来なかった。つまりじっくりこうした名著に向き合うことが出来ずに終わっていた。しかしその後の長い会社生活の、特に海外駐在時は英語で苦労したお蔭もあり、この年になってこれらの素晴らしい参考書に再び巡り会え、試験も英語での折衝もない現在は楽しみながらゆっくりと名著と付き合える毎日だ。本書も受験用ではあるのだろうが、私のように生涯英語学習用にノスタルジーを感じながら本書に接する時間は幸せに感ずる。生涯に渡り英語を愛する読者こそが持つべき1冊であると思う。
和文英訳の修業、英文構成法とセットで
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和文英訳の修業より前に出ている。修業はこの本を土台にして作ったものを考えていい。
全体を通して修業の基礎編を充実したものという印象。例文、研究問題の多くが修業と重複している。しかし重複分の殆どは修業より丁寧に解説してあるので、特に修業を愛用した人は買う価値あり。
後半部(文のつなぎ方、文の約め方)は英文構成法に対応している。
全講を通じて、研究問題が質量ともに充実している。修業では5題前後なのに、十二講では平気で20題以上ある。同一問題もあり、その解説の量も多い。修業、構成法の研究問題が終わった人には追加の問題演習として使える。
修業と構成法は暗記するための例文を明示してあるので、学習者としては先ずそちらを消化した方がいい。十二講は全体的に解説で通しているので、初学者がわざわざこれからやる必要はない。
英作文のコツを実践的に伝授
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書店でこの本を購入し読んでみたところ、あまりのおもしろさに感心。
すぐに著者の 「英文構成法」 と 「和文英訳の修業」 も買いに走ってしまいました。
「構成法」 や 「修業」 と比較すると、本書はかなり読みやすく理解しやすい内容となっています。
そのため、佐々木先生の本をどれか一冊読んでみたいという人には、入門用としても本書がオススメです。
ただし受験生については、学習の中心にすえる参考書ではなく、副読本程度の利用にとどめておいたほうが良いでしょう。
本書は、かなり受験範囲をこえた参考書だと思われるからです。
そういった意味では、大学に入ってからもずっと利用できる参考書といえます。
内容は、 「和文英訳の修業」 の基礎編だけを抜きだし、もう少していねいに解説したもの、と言えばわかりやすいかも。
講義式の記述ということもあり、歯切れのよい佐々木節を堪能できるうえ、文例も訳文も豊富で、コンパクトな見た目にかかわらず、かなり密度の濃い内容となっています。
本書タイトルにある12講の内容はつぎのとおり。
・主語の選び方、 ・動詞の定め方、 ・時制、 ・受動態、 ・修飾語句の並べ方、 ・文の形式について、 ・(接続詞による) 文のつなぎ方、 ・(関係詞による) 文のつなぎ方、 ・(準動詞による) 文の約め方、 ・(前置詞・副詞による) 文の約め方、 ・英語としての語句の整理/補足、 ・易しい書き方と難しい書き方。
私たちが英文を書くさい、日本人がおちいりやすい発想や文法の誤りを正しつつ、英文を組み立てる方法やコツをていねいに教えてくれる参考書です。
たとえば、文法書によってはサラリとしか触れていない無生物主語などに関しては、かなり念入りに解説してくれますし、また、試訳のパターンも豊富に示されているため、 「こういう書き方もできるんだ」 という柔軟な発想を知ることができます。
日本語の無生物主語として 「酒が言わせる」 をあげるなど、ところどころにおもしろい記述や脱線も。
そういった著者の人がらも、本書の魅力のひとつといえるでしょう。